第15話

余命から始まる心の変化
521
2018/03/29 14:57
目を覚ましたとき、みんながいた。
そうー、青宮くんの声が聞こえた気がして。
ずいぶんと長い間眠ってた気がする。
ひな
よかった、育ちゃん
一週間も目を覚まさなかったのよ
そう…なん…で…すか?
ひなさんの隣には先生がいた。
なんで…先生が…?
ごくっと息を飲む。
何か…悪いことでもあったのかな…
私の友達には席を外してくれと言って。
なにが…。
先生
うん、育ちゃん。
ほんと…言いにくいんだけどね。
もう、わかっている。
先生の言うことを
先生
育ちゃん…君は
もしかしたら、次の学年になることが
難しいかもしれない。
ーっ…、
えぇ、わかっていました…。
でも…でも…!まだここにいたい…
青宮くんといたいのに…なぁ。
先生
病気が悪化してしまったからには
手術は…出来ないだろう
…はい。
私が断り続けていたから…。
当然の天罰…とも言えますよね
でも…そんな余命を知らされたら…
青宮くんと一緒にいられる時間は限られてしまう
嫌だよ…嫌だっ!
せっかく…好きって…気づけたのに…。
ふぅっ…ふぇっ…うぅ…
我慢していた涙がこぼれ始め嗚咽が漏れる。
きっと病室の外にも聞こえていると思う。
ひな
い、育ちゃん…。
ひな…さん。
もしも…の事で例え話として
聞いてもらえますか…?
そっと…呟く。
これはーただの例え話なんかじゃない。
本心を隠して…現実を知るため。
病気で、いつ死ぬかわからない女の子が
恋なんてしちゃいけないことは十分承知の上。
相手にだって迷惑がかかる。
それなのに…私は…ワガママだ。
ひな
ええ♪育ちゃんのことなら
私はいくらでも聞くわよ?
例え話だっていい。
話してごらん?楽になるかもよ?
ーひなさんは優しい。
その優しさに甘えてしまう私は
まだまだなのかもしれない。
もしもー、とある女の子が
クラスの男の子に恋をした。
でも女の子は余命を知らされていた。
病気の女の子が恋なんて
しちゃいけないことはわかっている
けど忘れられない…。
ーそれってどうすれば良いのかな?
ーあぁこれはもう私の事ってバレバレだよ…
もう例え話なんて通用しない…。
ひな
なるほど…。
余命を知らされた女の子は
恋をしていたのね♪
いい?育ちゃん。
恋にダメなことなんて無いんだから
恋は自分の成長に欠かせないもの。
それを病気だからって心に
押し込めちゃダメよ。
そして、ひなさんは育の頭を撫でた
ひな
自分が後悔をしない
生き方をすれば良いと思うよ。
恋ばな…楽しみにしてるよ♪
そういって悪魔な笑顔を見せたひなさん。
そんな一面もあるんだ…。
でも育は変わろうとしていた。
その、ひなさんの強い意思と思いに心を打たれ。
少しだけー積極的になってみようかな?ーと

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