目を覚ましたとき、みんながいた。
そうー、青宮くんの声が聞こえた気がして。
ずいぶんと長い間眠ってた気がする。
ひなさんの隣には先生がいた。
ごくっと息を飲む。
何か…悪いことでもあったのかな…
私の友達には席を外してくれと言って。
なにが…。
もう、わかっている。
先生の言うことを
でも…そんな余命を知らされたら…
青宮くんと一緒にいられる時間は限られてしまう
嫌だよ…嫌だっ!
せっかく…好きって…気づけたのに…。
我慢していた涙がこぼれ始め嗚咽が漏れる。
きっと病室の外にも聞こえていると思う。
そっと…呟く。
これはーただの例え話なんかじゃない。
本心を隠して…現実を知るため。
病気で、いつ死ぬかわからない女の子が
恋なんてしちゃいけないことは十分承知の上。
相手にだって迷惑がかかる。
それなのに…私は…ワガママだ。
ーひなさんは優しい。
その優しさに甘えてしまう私は
まだまだなのかもしれない。
ーあぁこれはもう私の事ってバレバレだよ…
もう例え話なんて通用しない…。
そして、ひなさんは育の頭を撫でた
そういって悪魔な笑顔を見せたひなさん。
そんな一面もあるんだ…。
でも育は変わろうとしていた。
その、ひなさんの強い意思と思いに心を打たれ。
少しだけー積極的になってみようかな?ーと
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!