それは、暑い暑い夏の日のことー。
私は当時小学生2年生で、病気もそこまで
重くなかった
磨衣は当時、小学5年生。
その時からかっこよくて学校でもモテてた
そう言うといつだって、おんぶしてくれた
年齢の差もあって身長差もあったから軽々と
私を持ち上げてしまう
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磨衣におぶられて行くこと20分程。
林の中にある小さな洞窟のような物があった
海を見て興奮する育は目を輝かせて磨衣にすがる
磨衣は育の手を取って走る
崖の上から見渡せる広大な海
太陽の光に反射して輝く水
そう言い、育は磨衣の手を振り払い走り出す
磨衣は引き留めようとしたが時すでに遅し
崖の下へ降りようと小さな体で下る育は途中、
足を滑らせてしまった
瞬間、磨衣は崖から飛び降り育を抱き止める
育は磨衣に抱きつこうとし、腕に触れた
磨衣は腕を押さえ表情を歪ます
育は一生懸命に小さな腕を振り回し
痛みを飛ばそうとする
海を見ながら育は磨衣にそう告げた
『ずっと』と。
そして、磨衣は笑った
今言っても、小さな育には意味はわからないと
わかっていた。
それでもー今伝えなければもう一生伝えられないと
そう、わかっていたからだ。
明日ー、この町から俺はいなくなる。
磨衣は悲しげな瞳で海をじっと見つめたー…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。