イヤになるような程の快晴が広がる
まだ暑い太陽が容赦なく照らしてくる
伸太朗は一人、育の前に立った
そう言うと伸太朗は自分の首に下がるネックレスを
お墓に置いた。
育のものではなく、伸太朗のネックレスを置いた
ここに置いておけばきっとーまた出会える
そう信じて。
このネックレスは育と伸太朗を繋ぐものー。
そして伸太朗は腕に抱えていた白い花束を置く。
ーあの日育が握りしめながら倒れていた花の花束だ
その花の名は『ハナミズキ』
花言葉は“私の愛を受け取ってください”だそうだ
ー偶然なのか、偶然ではないのかー。
育はこの花の花言葉の意味を知っていたから
握っていたのかー?
オレに伝えたかったのかー?
死んでしまった人の心情は当然知ることは不可能だ
オレは育に何もしてあげられなかった。
逆に育にたくさんのものをもらった。
心配だ。
オレのせいでー成仏ができなかったらと思うとー…
育にはいつまででも笑っていて欲しい。
ー次は自由になって欲しい。
君がー最後の1秒まで笑っていられるような。
そんな人生を来世は過ごせるように……祈るよ
聞き覚えのある声が後ろから響いた
伸太朗はポケットから手紙を出した
そう言うと美和と流も手紙を取り出した
そうだよなー。
オレたちは未来を造らなければならないー
伸太朗はそう空に向かって叫んだ
新しき育とー伸太朗はいつ……巡り会えるのかー
それはクマのキーホルダーが導くだろう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!