第34話

濱田side
1,073
2019/03/26 14:06
しげに案内されてこっそりついた屋上は、月明かりに照らされて明るかった。


濱田
探してた花、どこにあった?
重岡
あそこ!
おんぶしたまま花を探してたら、しげが指さした。



屋上には花壇もあるけど、あんまり手入れが行き届いてないのか、雑草も生えてて、

その中に、綺麗な黄色の花を咲かせた花があった。



その花を2本摘んで、しげに見せる。
濱田
これでええ?
しげは花を見ると嬉しそうに笑って、うん!と頷いた。




もう、これで用事は終わった。


やけど、病室に帰ろうという気にはなれなくて、しげをおんぶしたまま月を眺めた。







濱田
しげ・・?仕事のことなら・・気にせんでええ
しんとした空気の中、そう言うと、しげの「へ?」という声が響いた。


濱田
・・いや、ただ、今は無理せんといてほしい。

俺らは俺らのペースでやればええ。

俺らにしかできひん事、見つけていこうや。

そう言うと、肩にゆだねられたしげの顔が小さく動いて、


重岡
うん


そう、小さく頷いた。



重岡
ありがと、濱ちゃん。


呟くように言ったしげの声は、微かに震えてた。






しげが、いろいろ背負いすぎてしまうのはよく知ってる。


センターやからって、いろいろ抱え込んでしまうことやって。




でも、


俺ら、メンバーなんやから。



お前は、




一人ちゃうねんから。

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