プリ小説

第3話

重岡side
荷物を整理して、がらんとした部屋。



ー「僕の部屋!?僕が使うてええの!?」

もともとおとんが使ってた部屋を、小学生に上がるのと同時に僕の部屋に譲ってもらった。

ほんまに、嬉しかった。


お父さん
大毅ー
少し汚れた壁紙をそっとさすってたら、おとんが部屋に顔を出した。


「えらいさっぱりしたなぁ」なんて笑いながら部屋を見渡して、何もそれ以上言わなくて静かになって、


おとんは僕の方を見て微笑んだ。


お父さん
大毅は病気やってこと、言い訳にせんとほんまによお頑張ってたきたな。勉強も、仕事も。

おとんにそう言われて頷く。

授業に出れないこともあったり、中学校の頃は病気の症状が重かったから勉強について行くのはほんまに大変やった。


でも、やから自分はできんくて当然なんて、病気のせいにだけはしたくなかった。

負けず嫌いやから、全部丸暗記ででも、上位に入ってやるって必死に勉強した。


仕事と学校の2つになってからはもっと大変やったけど、やっぱり言い訳をするのはしゃくやから頑張った。

負けず嫌いなこの性格は、結構役に立ったんやな。



おとんは僕の机を愛おしそうに見た後、ベッドに並んで座って僕の背中をさすった。

お父さん
辛かったり、しんどかったりしたら、いつでも帰ってきてええんやからな。

急に言われた言葉にびっくりして、でもそれ以上に胸が熱くなった。

お父さん
いつかはそりゃ、子どもは家を出ていくもんやって分かってたけど、こんなにも寂しいなんてお父さん知らんかったで。
ずっと、涙なんて見せたことのなかったおとんが、目を潤ませて困ったように笑う。

そんなおとん見たら目の奥が熱くなって、ぎゅっとおとんの腕を握ったら、おとんは僕を抱きしめてくれた。

お父さん
大毅が産まれて、毎日が変わったんやで。
比べられへんほど幸せやった。

大毅はわがままやし、考えもせん悪戯するし、大変やったで?お前育てるん。
気付いたら僕の方がぼろぼろ泣いてて、おとんが頭をわしゃわしゃ撫でる。
お父さん
正直、病気の大毅を育てることに最初は自信なかったんや。

でもな、大毅の強さとか、明るさとか、その笑顔見てたらな、こっちが幸せもらって、僕らは大毅に支えられてここまでこれたんや。

そう言って、おとんは僕をぎゅっと抱きしめた。

いつもしてくれたみたいに、強く。


お父さん
大毅はお父さんとお母さんの誇りや。

大毅、産まれてくれてありがとうな。




夢が叶って、7人みんなで生活していけることが嬉しかった。


でも、

やっぱり寂しい。



いつだって家におとんとおかんがいて、

たまに一緒に買い物に行ったり、釣りに行ったり、

一緒に食べるご飯も、

他愛ない話も、


全部、


当たり前だと思っていた全部が、当たり前なんかじゃなくて、




幸せだった、と思った。





仕事で疲れ切った日も、きっと辛いことだっていっぱいあった日も、
いつもおかんや僕の話を聞いて、いつだって欠かさず一緒にご飯を食べてくれて、

何度も、勇気をくれたおとん。

家に帰ればいつも「おかえり」って迎えてくれて、

どんな時も、僕を誰より支えてくれて、誰より僕を愛してくれたおかん。



そんなおとんとおかんが、僕も誇りだよ。


僕を育ててくれて、愛してくれて、


ありがとう。

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みかん
みかん
WESTの太陽みたいなしげがだいすき。  くいだおれ太郎くんが大好き田舎の関西人