9時頃、淳太君に起こされた。
「仕事やけど、二人で大丈夫?」って結構な音量でしげと話してて目が覚めてしまった。
今日は7人の仕事やったけど、俺ら2人は休んでてってマネージャーに言われたらしい。
でも、2人だと心配やからって俺がここにおるって言う淳太君を、しげは無理やり仕事に行かせた。
ーせっかくグループで仕事もらえたんやもん。俺らおらんくてもWESTのこと広めてきて
そう言って。
淳太君が部屋から出て行った後、しげは俺の隣に座って心配そうだった。
苦笑いしながら言うと、しげも笑う。
そう聞かれて、小さく頷いた。
多分、疲れてた上にはしゃぎ過ぎたんが原因。
照れくさくて目を逸らして言うと、しげは「うん」と頷く。
急に謝られてしげの方を見ると、しげは申し訳なさそうに俺を見てた。
そう言うしげに首を横に振る。
そんなことない。
謝らないでほしい。
ありがとう、とか、ごめん、とか、いろいろ言いたいことはたくさんある。
自分だって発作やったのに、床を這ってまで俺の所に来て背中をさすってくれたしげ。
「大丈夫」って何度も声をかけてくれたしげ。
その時に見たしげは、ほんまに、カッコよくて、
最高のお兄ちゃんやって思ったんやで。
こんなこと、照れくさくて言えへんけど。
まだちょっと苦しくて咳込むと、しげはお腹をさすって布団をかけてくれた。
しげはそう言うと自分のベッドに横になってテレビのスイッチを入れた。
たまに笑ってかすかに揺れるしげの背中を見て、
じわっと滲んだ涙の意味は、なんなんやろう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!