ー「うわー!でかい!」
ー「すごー!!」
歓声にも似た、みんなの声が響く。
7人でした、二度目の花火の後、高台に行って近くであった花火大会を見た。
開催されている場所からは少し離れているけど、ここでも十分、楽しめる。
遮るものが何もないから全部見えるし。
こんな穴場やのに見に来ている人はほぼおらず、
7人一列に並んでぎゃーぎゃー騒いでる。
本当は、「近くで見たい」ってしげのリクエストだった。
でも、最近入院が多くなって、不調続きのしげを連れて行くわけにはいかなかった。
行かせてあげたかったな、
そう思いながら見たしげの背中には、神ちゃんと流星がついこの間買ってきたブランケット。
肩をずっと淳太に支えられて。
でも、しげは本当に楽しそうだった。
みんなで花火をやっている時も、しげは煙を吸わないように少し離れてて、ほとんど自分で花火も持てなかったけど、
それでもずっと笑顔で、声あげて笑ってた。
7人、いつの間にか呼び捨てで呼び合うようになった名前も、少し新鮮で、あの頃よりも楽しかった。
ードーン!!
終わりに近づいてるのか、ひときわ大きな音が響く。
1番端の照史と、神ちゃんは、顔を時々見合わせてずっと驚いてた。
そう言って目を輝かせっぱなしの望に、しげを気にしながらもずっとニコニコしてる流星。
終始騒ぎっぱなしで拍手するしげと、その隣でちょっとビクビクしてる淳太。
誰がその話をしだしたのか、どうしてそんな話になったのかは分からへんけど、
花火がドンドンなってるなか、話題は俺らの夢の話になった。
「もう一度7人で舞台をしたい。」
そう言ったのは、舞台が苦手だった望。
「もっといろんな番組をしたい。この7人にしかできない番組」
そう言ったのは神ちゃん。
楽しそうに言う望に、神ちゃんもうんうん、と頷く。
拳を上げる照史に、
なんてばっさりな神ちゃん。
笑い声が響いて、少しの沈黙の後、
淳太の声が響いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。