第68話

濱田side
1,052
2018/12/26 13:24
渋滞に巻き込まれて、スタジオに着いたのは収録が始まる15分前。



慌ててエレベーター乗って廊下を走ると、





え・・?




楽屋しかなくて人通りの少ない廊下に、見慣れた人がしゃがみ込んでた。




濱田
ちょ!しげ!どしたん!?大丈夫か!?
廊下にしゃがみ込むしげの所に走り寄ってその肩に触れたら、


しげの肩は震えていた。





重岡
・・・あ、濱ちゃん・・・


顔は青白くて、やのに、汗が流れている。


冷や汗なのか、それとも違うのか、分からない。



「大丈夫、大丈夫」って言うしげと、発作の時とは違う症状。





でも、これまでの経験が言ってる。



これ、大丈夫じゃない。





濱田
とにかく今日の収録は延期にしてもらわな!
そう言ってしげを抱えようとした時、

ぐっと腕を引っ張られた。



重岡
あかん・・・さっき薬飲んでん・・。やから良くなる。・・・お願いやから延期はあかん・・・
握られた手は、震えてる。
濱田
あかんって!薬飲んで良くなっても一時的やろ?あとでしんどくなったら大変・・
重岡
お願いやから・・!しんどくなったらちゃんと言うから・・!

いや、言ってることめちゃくちゃや。



今、しんどいんやんか。


何が”ちゃんと言う”やねん。





聞いたらあかん。



こんなお願い、絶対に聞いたらあかんねん。






分かってるのに、


頷いてしまった。



濱田
無理せんといてや?
そう言って。

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