神ちゃんに尋ねられた時、ビクッとした。
実は今朝から頭がめっちゃ痛い。
足も、めっちゃ痛い。
やからしんどくてみんなの手伝いもできず突っ立ってた。
寝室に入ったら、しげが起き上がろうとしたから、「まだやから起きんくていい」って寝かせた。
と、その時、しげにじっと見つめられた。
しげと声がかぶった。
しげは「座っとき」って僕の腕に触れた瞬間、熱っぽさに気付いて「やっぱり」と悲しげな顔をした。
起き上がろうとするしげを止める。
自分の声が震えてた。
痛いし、多分、このままやと明日には動けんくなってるやろうし、
でも、みんな大変そうで、これ以上負担を増やしたくなかった。
きっとみんな笑顔で対応してくれるやろうけど、内心迷惑だって思ったりしてないやろうか、
そう思うと怖くて。
しげが真っ直ぐに俺を見る。
しげはそう言うと俺の肩を叩いて、「ちょっと待ってて」って部屋を出ていった。
何もできずに座ってたら、しばらくして濱ちゃんがドタドタと部屋に入ってきた。
首を横に振る。
ちゃう。俺がちゃんと言わなあかんかった。
なんて笑いながら言って、動けない俺をおんぶしてくれる濱ちゃん。
部屋を出る前にそう言われた言葉が、じんと響いて、
ああ、
しげの言う通りや。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。