夜中の3時、しげも望も大分落ち着いてきて、寝れなかった僕らもほっと胸をなでおろした。
望は発作で疲れてすぐに眠ってしまったけど、
しげはずっと目を覚ましていて、
望の方をじっと見てた。
発作にはかなりの体力を使うって、先生が言ってた。
言われてみれば、発作が起きた後はいつも意識を失うように眠り込んでしまうから、ほんまに大変なんやろうなって思う。
汗だくになってるしげの額を拭いてあげながら頭を撫でた。
そう声をかけると、しげは小さく頷いて、
でも、望から目を離さない。
しんどそうなしげに言いながら胸をさすると、しげは目を閉じて一気に眠ってしまった。
寝息をたてるしげを見ながら言うと、濱ちゃんが頷いた。
濱ちゃんはそう言うと苦笑いして俺を見た。
戸惑いながら笑う濱ちゃんに、「そうやな」と呟いた。
気にしいで繊細なしげを心配に思いつつも、俺らの眠気も限界で、
「なんかあったら起こしてな」って濱ちゃんとお互いに言い合って眠りについた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!