レギュラー番組が始まって早数カ月。
しげの体調に合わせて日程を変更してもらったり、企画を変えてもらったりしながら、楽しい番組ができていて充実している。
今日は収録の日。
雑誌の取材があった俺と照史としげだけ、早めに楽屋に集合していた。
疲れてるのか、寝転がったまましげがずりずりと寄ってきて膝の上に頭をのせてくる。
頭をのせたままぐりぐりと押し付けて笑うしげに、俺も笑ってまう。
ほんま、こういうことよお出来るよな。俺には理解不能。
最近何度も同じように聞かれる。
みんなで出かけたい場所を、思いついたら書いてもらって箱に入れてもらってるんやけど、
それがどのくらいたまったかって話。
頷いて言うと、しげは嬉しそうに笑った。
あのリクエストの山、ほぼしげのなんか・・・。
両手をいじりながら、小さく呟く。
リクエストは適当に決めてるからしげのが当たるとは限らないし、
まずしげのリクエストの場所は大半が遠出すぎてしげの体力じゃ行かれへん。
そう言って2人で笑う。
しばらくしたら静かになって、しげがそばで寝てた照史を指さす。
しげの調子が悪い日が多くて、夜中も起きてくれてることの多い照史は寝不足。
眠そうなしげに言うと、頷いて俺の膝に頭乗せたまま目を閉じた。
つっこみにしげは首を小さく振るだけやった。
なんなん、ほんま。
しげの手は、俺の服をしっかり握ってて、絶対に他の所には寝かせへん気満々。
しょうがないからそのままにしてたら、しばらくすると寝息が聞こえてきて、服をぎゅっと握っていた手もぽてっと落ちた。
絶対に寝違えるわ、って思いながらも、安心しきった寝顔に俺まで安心していた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!