今日は、新人のひみこちゃんが接客をやる日だ。
だけど、さとみくんの接客だけはされたくはない。
本当はやりたくない。
だって、私がお客さん見つけてるうちにさとみくんが来て、ひみこちゃんに接客されちゃいそうだから。
寒い中、メイド服で外に立つ。
コートくらい着たいところだけれど、メイド服じゃないと意味が無いと言われてしまった。
メイド服の前はそれなりの歩道があり、車も通る。
仕事帰りっぽい男の人に、メイドカフェのチラシを差し出す。
もう10人くらい声をかけているけれど、みんな無視して通り過ぎていく。
あの時のイケメンさんだ…!
イケメンさんは私のネームカードを見て言った。
ななもりさんって言うんだ。
めっちゃイケメン…。おとなっぽい。
ななもりさんは、私の布からはみ出ている肌を見た。
こんなイケメンさんをメイドカフェなんかに連れてって大丈夫なのだろうか。
イケメンさんと一緒にお店に戻ると、店長に褒められた。
ななもりさんは、私の方をチラッと見た。
可愛いな。
ななもりさんと席に着くと、珍しいものを見るかのように周りを見渡していた。
そのとき、ドアのベルが鳴った。
その音と共に、イケボで私を指名する声が聞こえた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。