『ねぇ、村上くんはなんでこの学校に転校してきたの?』
朝のホームルーム後、隣の席の白鷺さんは興味深々に話しかけてきた。
『ほら、そのっ...三門市って、多分テレビとかで見て知っての通りだと思うんだけど、色々と危険じゃない...?』
『だから、なんで三門市に来たのか気になっちゃって...』
村上「え、えーっと....」
突然の質問に俺は少し戸惑った。
『あぁぁ〜ごめんっ、嫌な思いさせちゃったかな?ほら〜その...家庭の事情とか色々....』
『ごめんっ、何も考えずに聞いちゃった...失礼だよね...ほんとにごめんっ!』
白鷺さんはどうやら俺が家庭の事情などで転校してきたのだと思ったようだ。
村上「(ここに来た目的は違う...けれども、こんなに必死に謝ってる....)」
彼女は優しいんだな、と心の底から思った
村上「白鷺さん、大丈夫、家庭の事情じゃないし、病む負えず転校してきたとかでは無いから。顔上げて...」
『そ、そう..?気使ったりとかしてない...?』
村上「うん、俺は、ボーダーにスカウトされてこの三門市にやってきたんだ。」
そう俺が言うと、白鷺さんは目をぱちくりさせ、
『ぼ、ボーダー!!??』
と、驚きの表情を浮かべた。
その彼女の反応に周りが気づいたのか、
「え、なになに?村上くんってボーダー入るの?」
「それマジ!?すげー!!!」
「スカウトってことは優秀な人材だから連れてこられたってことでしょ!?なにそれ、めっちゃ凄いじゃん!」
と、俺の机の周りにはクラスメイトがどんどん集まってきた。
「ボーダーかぁ〜!いいな〜かっこいい!憧れるぜー!」
「まぁ、この学校じゃボーダーも普通にちらほらいるし、珍しかないけどな。隣のクラスの水上だって、スカウトだったみたいだぞ?」
「あー、あいつ関西から来たって言ってたもんな〜」
村上「ボーダー...この学校は多いのか?」
「ああ!いわゆるボーダーの連携校らしいぜ!今じゃクラスに三、四人はボーダーいるな!」
三、四人.....
村上「なるほど、多いな。てことは、このクラスにもボーダーが何人かいるのか?」
「おう!まぁ、、うちのクラスは1人しか居なくて、他のクラスに偏ってんだけどなぁ...あ、でもうちの学年のボーダーが少ないとかそういう訳じゃないぜ!」
村上「その1人とは?」
と、俺が問うと...
ガシッ
『うぐっ...』
「こいつだよこいつ!しーらーさーぎ!」
隣にいた白鷺さんの肩を掴み、そう言った。
村上「しら...さぎさん...?」
『うっ、ちょっ、重いって...体重乗せないで...!』
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。