┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
こっちに来て早2ヶ月。
なかむくんのおかげでクラスのみんな、それからワイテルズのみんなとも打ち解けることが出来た。
それでも、私はまだクラスで1人打ち解けられていない男の子がいた。
そう。隣の席の子だ。(席替え済み)
なかむくんが言うには"面白くて良い奴"らしいんだけど。
休み時間に入れば机から分厚い本を取り出して黙々と読むし、放課後も荷物をさっさとまとめてなかむくんの席に行ってしまう。
そのため、まだ私は彼と話したことがない。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
授業前
鞄をひっくり返す。
でもそこに英語の教科書はない。
今日もまた分厚い本に目を通す彼に私は声をかけようとした。
と、同時に彼が教科書を差し出す。
予想もしていなかった行動に私は戸惑いを見せつつお礼を言う。
その後の授業は須磨元君のおかげで授業を受けることが出来た。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
放課後
私が教科書を片付けていると先生に呼び止められた。
相変わらず須磨元くんは口数が少ない。
そう先生は言って重たい資料を私たちに託す。
無口な紫色の彼との二人の時間。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!