山の奥の家で俺と一緒に住むことになった人の子はよく働く子だった。
平日は仕事があると朝から夕方まで山から降り、平日は俺の世話をしてくれる。
2人で居る空間はこんなにも暖かかっただろうか。
久しぶりの感覚で戸惑ってしまう。
人の子と暮らすのはどうかと思っていたが、案外上手くやっていけている。なにより満桜は見ていて面白いほど表情がよく変わるのが良い。
だが…
人の子というのはあっという間に死ぬ。
だからあまり関わりたくなかったのに、少し近づきすぎている感じが自分でも分かる。
マフラーを巻いて外へ出た満桜を見ながらはぁ、とため息をついてしまう。
必ずいってらっしゃいを言うようになってしまっている。人の子に慣れた証拠だ。
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5分程経っただろうか。
ポツポツと振り始めた雨が、土砂降りになった。
急いで傘立てを確認すると、傘は置いたままだった。
昔、あいつと一緒にここまでの道がわかりやすいように木を埋めて階段を造ったが、古くなっているからあそこも滑るかもしれない。ここから下まで30分はかかる。
満桜が危ないかもしれない。
そう思った途端傘を持って走って外へ出ていた。
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▽▽
傘を持ってくればよかったと後悔するがもう遅い。雨を凌ぐために大きな木の下へ移動する。
雨の日は余計なことも考えてしまう。
おひぃさんは俺がいて迷惑じゃないだろうか。
色々注意する俺のことが嫌いじゃないだろうか。
1年後はどうするのだろうか…。
深く考えれば考えるほど傷つくのは自分なのに。
おひぃさんと1年後に別れるのが寂しいなんて。
俺を見つけた途端ギューッと抱きしめてきた。
嬉しい。おひぃさんが俺の為に外まで走ってきてくれるなんて。
ギュッと服の裾を掴む。
見てくださってありがとうございます!!
じわじわと満桜に染まっていくおひぃさんを書くの楽しいです。
次回はお買い物編です!!
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。