後輩「月菜せんぱ~い、遅いですよ~。」
後輩「とりあえず、サビ前です。」
「私もです。」
後輩「はい!」
みんな初めての曲にしては上出来で、これならコンサートにも無事に間に合いそうだ。
後輩「はい、」
「あ、月菜先輩。私これから塾行くので帰って大丈夫ですか?」
後輩「はい...」
後輩「はい、全然大丈夫ですよ。」
後輩「はい」
「なんか、月菜先輩お母さんみたいw」
後輩「wwww」
「あ、じゃあ失礼します。」
後輩が1人帰って、数十分経った頃、さすがに遅くなるのでもう一人も帰らせた。
私はまだ進めたかったので一人残って練習することに、
かといってもまだ、運動部がちらほら残っている。
一人で悩み続けていると、空には1番星が輝いていた。
時計に目を向けると時刻は7時前。
あんなに残っていた運動部ももう残っていない。
慌てて楽器を片付け、音楽室に施錠し玄関へと急いだ。
職員室に鍵を返す時先生が「まだいたのか!?」と驚いていたけど...
根っからの寂しがりやな私は、一人で帰ることが憂鬱でしかなくて、
いつも誰かと一緒に帰るのだけど、こんな時間に帰る生徒は見当たらない。
むしろ、私最後なんじゃない?
このまま、一人で帰るのかぁと思っていると、
声がした方へ振り返るとそこには海斗が。
そして、海斗と二人で帰ることに。
一緒に帰っているうちに1つ疑問が浮かんだ。
気づいたら家の前まで来ていた。
海斗から逃げるように家の中に入った。
バレーか、私の記憶の中から消したい思い出。
あの時私はどうしていたらよかったんだろう。
過去は変えることはできないのに、今日また思い出して涙を流してしまった。
そして気づいたら私は眠りに落ちていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!