チリリリリ
騒がしく目覚ましが鳴る。
「月菜~、起きなさーい!!」
そんな母の声で一気に眠気は吹っ飛び、目が覚めた。
高校生にもなって親に起こされるのはいかがなものか...
けれど、目覚ましで起きられない私には必要不可欠な母の目覚まし時計。
小学生、いやもっと前、幼稚園の頃からこうして起きてきたのだ。
癖はそう簡単に治らない。
階段を下り、朝食が用意されているダイニングテーブルに行き、椅子に腰かける。
今日の朝食は、トーストと、スープといったごく普通のメニュー。
朝早いからか、声が小さくなる。
時計に目をやると、針は6:30を差している。
6:30は高校生として一般的に見て早いのか遅いのか分からないが、学校に着くのは、
割と早いほうだ。もちろん朝練がある部活を除けば。
私は運動部に、所属せずに吹奏楽部に所属している。
かといって、中学で吹奏楽部に所属していたわけではない。
まぁ、その辺の話はまた後程...
やっと目と頭が覚めてきた。
特に、朝の準備に時間をかけることはないので、朝ご飯を食べ終わってから、
かれこれ、30分。
7:15に家をでた。
電車通学の私は毎朝、通勤ラッシュの電車に乗る。
座る席などないの車内だが、これよりも遅い電車はもっとひどいらしい、
毎朝ぎゅうぎゅうで登校とか一日の始まりで気分が低くなりそう。
駅を出て、学校へと歩いていく。
今の季節は、梅雨が明けて、じわっと汗をかくような暑さ。
汗をかきはじめてだんだんと気持ち悪くなる。
早くクーラーのきいた教室へと思い私は歩く足を速めた。
教室はクーラーが効いておりとても涼しい。
まさに生き返ったよう。
心友の美空。
小さい頃から一緒で私が唯一なんでも話せる存在。
私は毎朝こうやって美空ト他愛もない話をして盛り上がる。
この時間が私は大好きだ。
そろそろ、8:10。
朝練を終えた生徒たちが帰ってくる。
ガラガラッ
私たちはそのままガヤガヤ話し出した。
すると、
ガラガラッ
「お~海斗お疲れ~」
少しけだるげに返事を返す人物。
それと同時にさっきまで話していた二人はコソコソし始める。
二人の反応からお察しの方もいらっしゃるだろう。
私、月菜は海斗に片思い中です。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。