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第8話

7.
夜風よかぜあなた
お、お待たせ、しました……!!
おずおずと、冨岡先輩の所へ歩き、寄る。
思えば、男の人と2人で出掛けるのなんて、お父さんと、

……実弥くらいしか無かったのだ。


妙に緊張して、妙にお洒落をしてきてしまった。


別に、デートだと決まった訳では無いのに。
冨岡義勇
……そんなに待ってない。気にするな




" 別に待ってなんざねぇよ。んな事気にすんなァ "




そう言って微笑む彼を、連想させてしまう。

……どうやら私は、かなり重症らしい。
夜風よかぜあなた
……で、何処へ行くんですか?
冨岡義勇
こっちだ
夜風よかぜあなた
あ、ちょ、
先輩は私の手を取り、歩幅を合わせながら歩いてくれた。
……優しい人だな、と。

改めて、思った。





* * *




……つくづく思う。
何で俺は、こんなにも悪運が強いのか。
休日だというのに、とあるカップルを見かけてしまった。

白昼堂々、手なんか繋いで。

溢れ出る嫉妬心で、頭がどうにかなりそうだ。

……けど、俺の隣にあいつは居ちゃいけない。


ふと、横を見ても、
不死川実弥
……
行き場の無い手が、ただ空を切っただけ。

それを掴んでくれる手は、もう、無い。


……あいつは、もう、冨岡のもんなんだろう。
不死川実弥
………
不死川実弥
あなた…、
目を閉じると、あいつの笑顔が浮かんだ。


あの頃のあいつは、

……俺に、笑いかけている。
不死川実弥
…はっ、馬鹿みぇ
自嘲気味に笑う。

俺の中であなたという存在は、思っていたよりも……あまりにも、大きすぎた。



……どうやら俺は、かなり重症らしい。











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