授業を受ける気になれなくて、屋上で空を眺めていれば。
どっかの派手好きな同級生が、声を掛けて来た。
……そうか、じゃあこいつらは全部知ってんのか。
前世………鬼を狩ってた時代。
……そして、俺と夜風に何があったのか。
全部。
そう一言残し、去って行く宇髄。
……無理だわ、そんなの。
もう既に後悔しちまってる。
色んな感情が俺ん中でグルグルと駆け巡って、やっと出した答えがこれなんだ。
……と、その時。
──…ガチャッ。
誰かが来た。
咄嗟に身を隠す。
……屋上に上がってきた人物は、俺の想像を遥かに超えた“2人”だった。
……あなたと……冨岡。
何でアイツが、冨岡なんかと……。
俺に募っていた怒りは、次の瞬間。
……一瞬にして冷めた。
……は?
……立ち聞きしていた俺は、そのままズルズルと地面に座り込んで。
嫉妬と、絶望と、失望感と。
とにかく色々な感情に襲われて。
……あぁ、そんな簡単に…諦められんだな、お前は。
別れたのは、俺の勝手な贖い。
犯した罪への、勝手な償い。
だから……こんな事になるのも、簡単に想像できただろ。
誰にも聞こえないくらいの声量で、呟く。
何故だか、涙腺もぶっ壊れやがった。
……あぁ。
お前があいつを選んだなら、それでいい。
認めたくねぇが、俺よりはお前を幸せに出来る筈だ。
……けど。
︎︎
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。