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第1話

1*
好きな人の話で、みんなには言えないような恋をしてる場合ってどうしたらいい?
友達1
ねぇ、あなたも公開しようよー。私らもう言ったよ?
あなた

だからいないんだってー……

友達1
いーやその言い方はいる!誰?
友達2
一人だけ言わんのずるいよー!!
ちょっとなまってるっぽい方の子は、紗和さわ

もう一人、「公開しようよ」と言ってきたのが樹果じゅか

二人とも大切な友達だけど、それとこれとは話が別なのだ。
あなた

だからいない……

苦笑を浮かべて否定しかけたところで、突然教室のドアが開く。

その瞬間、教室内でスマホをいじっていたクラスメイトたちがサッと一斉にそれを隠した。
佐藤さとういるか?
――背後から響いた低い声に、どきりとする。

けれど悟られないように、自然を装って振り返った。
あなた

はい。なんですか?

私の前にやって来た人――紫川しかわ先生が、顔の横で一冊のノートをひらひらさせる。

私が今朝クラスメイトたちと一緒に提出したノートだとすぐに分かった。
紫川先生
お前のノート、生物だった。これ返すから数学持ってこい
あなた

えっ!?す、すみません!ていうかあの、今から持っていきます!!

紫川先生
先生が小さく返事をして廊下へ出ていく。

私は急いで机の中から該当のノートを探し出し、樹果と紗和に向かって顔の前で両手を合わせた。
あなた

ごめん!行ってくるね!

樹果
いいよー、いってらっしゃい
紗和
おけ!てか普通に羨ましいわ、うちなんか名前呼ばれたこともほとんどないのに
樹果
あー、そうだね。まああなたは色々抜けてるからじゃない?にしてもほんとイケメンだよね私らの担任
机に頬杖をついて樹果が言う。

まぁ、確かに……イケメンだよね。