第2話

2*
紗和
それな!?適度に若いしイケボやし絶対彼女おるわあれ……おらんかったらうち立候補したいわ……
あなた

あれ、あなた幸村ゆきむらくんは?

紗和
いや……だって叶いっこないし!
樹果
それ言ったら紫川先生のがもっと叶わないでしょ。あんだけハイスペックでしかも先生と生徒だよ
あなた

……それね。じゃあごめん、そろそろ

紗和
あ、そーやった!いってら!
樹果
またあとでー
二人に見送られつつ教室を駆け出て、廊下をそれなりの速度で走っていく。

先生の姿はもう見えないけれど、居場所は分かっている。


職員室――……では、ない。





紫川先生
よぉ。ご苦労さん
紫川先生が管理を担当する、【数学準備室】。

そこのドアを内側から閉めると、紫川先生の声がした。
あなた

……ありがとうございます

私は静かに言って、ドアについている鍵の出っ張りを下げた。

ガチャン、と音が鳴り、密室が出来上がる。

体の向きを変えて、室内を見渡す。紫川先生の姿はなく、一見いないように思える。

しかし、ドアから数歩奥へ進んで、右に方向転換すれば、
紫川先生
座れよ

入口付近の大きな棚に隠されて見えなかった部分が、――ソファに腰掛けてこちらを見上げている紫川先生が、現れる。