前の話
一覧へ
次の話

第1話

超能力の真実を知らない人は馬鹿です
1,733
2020/09/15 13:08
数百年前まで、 “今の” 私が住む日本でも、超能力というのは存在が確定されておらず、寧ろ空想の世界の中のみのものだと思われていた
ただ『超能力は本当に存在するのではないか』という仮説がいくつも挙げられていたが、どれも根拠に欠け、議論は低迷していた
ちょうどその頃、ヨーロッパに落下した隕石に含まれていたとある成分がきっかけとなり、超能力が普及
その成分を加え、作られた特殊な『種』を、幼い頃に体内に植え付けると、成分と肉体とが反応し、特別な力────超能力を得ることができるというものだった
この原理は未だに謎に包まれているが、『種』の作り方さえ分かっていればいいという思考を持つ重鎮の方々は、その謎を解くことを放棄し、超能力を世界中に浸透させた
けど、私は知っている
この超能力は、自分の命を削って使われていることを
現に、私たちの平均寿命は超能力が発展する前の統計を大きく下回っているのだ
ただアホな重鎮共は、それが科学の発展の引き換えであり、超能力さえあれば大丈夫だ・・・・・・と確証のない戯言を言い続けている
それは超能力の中に、怪我を治癒するものから卑しいものまで、種類が多岐にわたるからだろう
いつになればこの状況を打開しようと奮起するのか。私は呆れている反面、割と楽しみにしていたりする
・・・・・さて、なぜ私が、世界のやんごとなき方々を差し置いて、こんな情報を持っているのかというと、これには訳がある
私──────本条ほんじょう瀬奈せなは、転生者なのである





☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆




さすがにこれだけでは理解出来ないと思うので補足すると
私の前世は、異世界・・・・・・いわゆるパラレルワールドに住む1人の研究者だった
死ぬまでには成人していたし、職業にも就いていて、安定した生活を送っていた事は覚えている
で、ここからが本題。この世界の人々が見つけたとある成分。それは私が前世で見つけたもの
正式名称アストロータ。この世界では超能力の素だとか、曖昧な言い方をされている。ただ私の前世ではアストロータと呼ばれていた
というか私が適当に付けた。名付け親は正真正銘私である
因みに今世で歳を重ねてようやく分かったのだが、私の前世は『地球が科学を選ばず、早々に超能力を極めることを決めた世界』だった。まあ、今の地球が科学をすっ飛ばして超能力を使うようになったとでもいえばいいか
けれど決定的に違うところがひとつある
それは、前世の世界では、みな生まれつき超能力が使えるということ。天然の超能力者である
もちろん私も使えた。しかもまあまあ強かった
その超能力を駆使し、私が18歳の時、アストロータを見つけた。命を削る代わりに強大な力を手に入れるという効用があり、危険だと思った私は、仲間と共にアストロータを国内外からかき集め、大事に保管していた
私の惑星のアストロータは取り尽くした為、他の惑星にもアストロータが存在したのだろう。それが偶然地球に落ちた。そのお陰で地球は変わってしまった




では1つ質問しよう。前世の私たちは天然で超能力が使えた。前世は地球のパラレルワードだった為、少なからず、地球の人間にも超能力を使うことの出来る力が存在するということ
その人間にアストロータを投与すれば、どうなるだろうか
そう、僅かに残った力をアストロータが大幅にブーストし、その結果、今の超能力が出来上がったという訳なのである
ご理解頂けただろうか
ああ、それからもう1つ
元々超能力の使える人間が、アストロータを強制的に植え付けられるとどうなるのか
それは当然・・・・・・備わっている超能力とアストロータとが反発し合い、二つとも徐々にその力を増していく
その結果、アストロータは時間経過により自然消滅するが、反発により力を大きくした超能力は残留し、計測器で測ることができないほど強いものになってしまうのだ────────

プリ小説オーディオドラマ