私は再び壁にもたれ掛かり恭平が出てくるのを待った。
何で待ってたんだろ?
よくわかんないけど、1人には出来ない。
そんな気持ちだと思う。
中から恭平の泣き叫ぶ声が聞こえる。
辛いよね恭平。
私は緑子さんのアパートでの出来事を思い出していた。
はしゃいで喜ぶ恭平、あんなに喜んでたのに。
私も涙か溢れて来た。
自分の事のように泣いた。
~数分後、現在~
緑子さんは恭平の事が好きだ。
それを恭平に言ったら、恭平は死に物狂いで緑子さんを口説くだろう。
でもそれは緑子さんを苦しめ、恭平も傷付き。
そして私も・・・。
私は恭平の顔を覗き込んだ。
そう言えばまだ恭平の気持ち確かめてない。
少し不安になる。
言葉では簡単に済ませたけど、心の中では両手を上げ飛び跳ねて喜んでる私が居る。
あんな後で不謹慎だけど自分の気持ちを抑えられなかった。
私は嬉しさの余り恭平の頬にキスをした。
は、恥ずい・・・。
今になって気付いた。
突然黙り込んでしまった、恭平。
キス位で昇天してしまったのだろうか?
私は恭平の前に立ち、顔の前で掌を左右に振った。
なかなか戻って来ない。
もう一度キスしたら戻って来るかな?
私は目を閉じ顔を近づける。
私があたふたと言葉を選んでいる時に恭平に抱き寄せられキスされた。
頭が真っ白。
何年ぶりにキスしたんだろ?
今度は私が昇天したみたい。
そう言うと恭平は私を抱き寄せ、再び顔を近づける。
何時もと変わらない私達がそこにいた。
何時もと変わらない日常。
何時もと変わらない幸せな日々。
それがずっと続くものだと思ってた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。