緑子
なんか恭平に話したら少し落ち着いた。
こんな話し誰にも話せないからずっと苦しかった。
緑子
ありがとね、恭平。
緑子は満面の笑みで言った。
緑子はまだ無理をしているのが分かった。
恭平
俺で良かったら。
話くらい聴くけど。
緑子
本当?嬉しい。
このタイミングて恭平が現れるなんて、なんだか運命を感じるね?
そう言うと緑子は身体を寄せてくる。
恭平
え?
りょ、緑子?
緑子
ねぇ、恭平。
もう一度私達、やり直さない?
恭平
え?え?!
緑子
な〜んて、嘘よ。
なに怯えてるのよ。
私はもう、ちひろを裏切れない。
恭平
え?
どう言う意味ですか?
ちひろを裏切る?
緑子とちひろの間に何が合ったんだ?
緑子
・・・。
この際だから打ち明けるわね。
俺は唾をゴクリと飲み込み、覚悟を決め話に耳を傾けた。
緑子
私ね、転校前ひどい虐めにあってたの。
だから、私はこの村に転校して来たの、この村に来てからもまた虐められるんじゃないかって不安だった。
そんな時最初に話し掛けてくれたのがちひろだった。
緑子
初対面の私にちひろは「この髪型可愛い」そう言ってくれたの。
私、両親以外から可愛いなんて1度も言われた事無かったから嬉しくて。
ちひろの事が好きになったの。
緑子
その後、恭平とも知り合って。
2人は本当に仲が良かった。
ううん、良かったなんてレベルじゃない、この2人は言葉が無くても意思疎通してる。
私はそんな2人に憧れてた。
私も2人の様に成りたい、そう思ってた。
緑子
それで、3人にでいる事が多くなり。
私はしだいに恭平に惹かれて行ったの。
そして、私はちひろから恭平を奪った。
恭平
え?奪った?
緑子
ねぇ恭平、高校の卒業式の日覚えてる?
恭平
ん?
ああ、緑子に告白された日だよな。
緑子
その日、本当はちひろに告白するつもりだったでしょ?
恭平
でも、来なかったんだ。
ちひろに振られたと思った。
え?
なんで知ってんだ?
緑子
私ね、恭平の所に向かう前にちひろに話したの。
私、恭平が好きだから、恭平に告白されたの。
て、嘘ついて。
私、ずるい女でしょ?
恭平
なんで、なんでそんな事。
ちひろは、ちひろはその後、どうしたんだ?
緑子
ちひろは「そっか、2人はお似合いだもんね」て、そう言って身を引いたの。
その後、ちひろは村を出ていってしまったの。
恭平
ちひろが村を出てったのはそれが原因なのか?
緑子
それだけじゃ無いと思うけど。
多少は関係してると思う。
あの子優しいから、私達の事気遣ったのよ。
どれもこれも衝撃的な内容だった。
なんで、こんな事したんだよ。
緑子に少し怒りを覚えた。
でも、これは全部俺が悪いんだ。
俺がもっと早く気づいていれば。
俺がもっと2人と向き合っていれば。
俺がもっと早くちひろに告白していれば。
少なくとも2人をここまで傷付けることは無かった。
全部、俺が悪いんだ。
俺がその事に気付いたのはもっとずっと後のことだったんだ。
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第34話 誤ち
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!