俺はちひろを強く抱き締めた。
肩を震わせ泣いている。
6時間待ち続けたちひろ。
どんな思いで待ち続けていたのだろう?
楽しみにしていた温泉旅行も駄目になってしまった。
ごめん、ちひろ。
暫くするとちひろはヒョコと顔を出した。
言われた通りに頭を撫でるとちひろは幸せそうな顔をして微笑む。
再びちひろは顔を胸にうずめる。
そう言うと俺にキスをした。
照れるちひろ可愛い。
そして、ちひろは俺の胸から離れ、両腕を上に伸ばし背伸びをした。
頭を左右に振って微笑む。
微笑むちひろ俺は再び抱き締めた。
嬉しかった。
そう言いつつちひろも背中に腕を回す。
俺はポケットからスマホを取り出した。
ちひろは微笑んだ、でも、これが遅れた理由にはならない。
そこまで言うと電車がホームに入って来た。
そう言うと俺の手を引き電車に乗り込む。
ちひろの機転によりデートする事になった。
俺達は隣町に向かった。
俺達は遅めのランチを楽しみ。
水族館で魚を鑑賞し。
ゲーセンで勝負し。
カラオケを楽しんだ。
何時もの様に楽しそうに笑うちひろに俺は救われた。
ちひろは俺が遅れた理由を聞こうとはしなかった。
ごめんなちひろ、こんな不甲斐ない彼氏でごめんな。
ちひろは強い女性だ、俺はその強さに甘えてしまったんだ。
この一件で俺達の歯車は少しづつズレ始めた。
それは大きくズレ始め、やがて壊れてしまう。
壊れた歯車はもう、二度と戻らない。
もう、二度と・・・。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。