あれからどうやって帰ってきたか覚えていないが。
気付いたらベットに横たわって居た。
何気にスマホを見るとLINEの通知が入っていた。
緑子からだ。
俺は慌てて飛び起き内容を確認する。
と、一言で終わった。
そう返信した。
俺も話したい事がいっぱいある。
でも、話しをするのが怖かった。
このまま終わってしまうんじゃないか?
10年間続いたこの関係がたった一晩で終わってしまうのが何より怖かった。
それと同時にあれは何かの間違いでまだ2人の関係は続くと言う淡い期待も抱いていた。
とにかく明日話そう。
明日になれば分かるはず。
そう自分に言い聞かせた。
でも、今日は寝れそうもない。
やっぱり色々考えすぎて眠れなかった。
俺はそのまま支度をし村役場へと向かった。
職場までの道のりがやけに長く感じる。
会ったら何から話そうか?
それよりもちゃんと話せるのか?
そんな事を何度も考えてる内に役場に着いた。
中に入ると既に緑子は自分のデスクに座って居た。
そこには何時もと変わらない緑子が居る。
何時もなら何の躊躇いもなく話せるのに。
今日はなかなか切り出せない。
俺は意を決して緑子に近付く。
緑子がこちらに気付き何時もと変わらぬ笑顔で挨拶する。
何時もと変わらぬ優しい笑顔。
その笑顔を見た瞬間、頭が真っ白になった。
頭が真っ白になった俺は焦ってしまい思わずこんな事を言ってしまった。
緑子は少しイラついた表情をした。
いつになく声を荒げて睨みつけてきた。
緑子の怒鳴り声が響く。
何とも間の悪いタイミングでちひろが出社して来た。
何も知らないちひろは心配そうに俺達の顔を見る。
俺は素っ気なく応えた。
今はちひろと話したい気分じゃない。
ちひろはいつもの様に意地悪ぽく話しかけて来た。
でも、今の俺にはイラつかせる言葉でしか無い。
俺は思わず怒鳴ってしまった。
ちひろは余程驚いたのか身体をびくつかせながら謝った。
ちひろは何も悪くないのに。
俺は最低だ。
緑子のその言葉にイラついて机を「バンッ」と叩いた。
俺はそう言い部屋を出た。
俺は何やってんだろ本当に最低だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。