私が物思いに耽っていると緑子さんが心配そうに顔を覗き込んできた。
緑子さんは私を見て微笑んでいる。
私は頭を左右に振り否定した。
ヤバ。
思いっきり反応してしまった。
きっとアニメなら顔を真っ赤にして頭から煙が出ているだろう。
でも、分かってるて、どっちの事だろ。
私がまだ恭平の事を好きなこと?
それとも、なんとも思ったいないこと?
もし、私がまだ恭平の事を好きだ、ということを知っていたのなら。
私の気持ちを知りながら恭平と交際してる事になる。
でも、私にはどうしようも無い。
緑子さんは親友出し、緑子さんみたいな魅力的な女性じゃないし、何より恭平が緑子さんの事が好きなら。
私は無理だし。
恭平は突然言葉を発したかと思えば。
くだらない事を言い出し腕組みをしてウンウンと頷いている。
こ奴は私に喧嘩を売っているのか?
時計を見ると23時を回っている。
こうして私は2人に別れを告げ帰路に着いた。
結局あの違和感は私の気のせいなのだろう。
とても楽しそうに話す2人を見てそんな疑いは晴れていた。
でも、緑子さんは時折遠くを見て寂しそうな顔をする。
何か悩みでもあるのだろうか?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。