今日はついに陸くんと帰る日
だから待ってるけどなかなか来てくれないな
あ、サッカー部いた!
智樹もいる…サッカーしてる智樹かっこいいんだよな、なんて、
顔が真っ赤になっちゃってすぐに顔を俯いた
1人で勝手に恥ずかしくなっちゃった
普通に会話しただけなのに
サッカー部男子や、女子が騒ぎ出した
私たちを冷や返す声がたくさん聞こえた
私はあまり恥ずかしいとは思わなかったけど…
陸くんは私の手を掴んで学校を出た
しばらく歩いて人が少なくなって
やっと手をはずした
陸くんは恥ずかしそうにウィンブレのポケットに手を突っ込んだ
陸くんは私を見て少し微笑んだ
どうしたんだろう?
陸くんは照れ隠しに頰をかいた
一歩私より先に進んでそう言った
夕日が陸くんの顔を照らしている
こっちをくるりと向いて苦笑いした
まだポケットに手を突っ込みながら
私は本当にそう思う
智樹と違ってどこか大人で優しくていつも気を遣ってくれている
ちょっと悪戯ぽく笑った
でもなんだか寂しそうな笑顔
私はその顔を見てなんだか思わず
陸くんは驚いた顔をしてまた笑った
そう言って私は陸くんにぎゅーとした
見られたら何か言われそうだけど
今はもうどうだっていい
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。