智樹は私をじろりと見てきた
さては帰りのこと?
陸くんに告白されたこと言った方がいいかな…どうしよう…
私はくるりと向いてキッチンへ向かい冷蔵庫の中を探り始めた
智樹の威圧は更に増していく
私は苦笑いしながら何もないと答え続けた
今日もいつもと同じ仲良く過ごしている。
お互い喧嘩みたいにはなるけど、それでもずっと仲良し。
私はくすくす笑った
あまりに笑ってお腹が痛い
せっかく作ってあげたのに、智樹がそんなこと言うから…
私が頰を膨らませてムスッとしていたら智樹が顔を覗き込んできた
そんな整ったかっこいい顔でニヤッと笑われると流石にドキッとしてしまう
智樹がそう言って座布団に座った
家に1つしかない小さなテーブルには
夕飯が囲まれている
智樹は私の作ったご飯を「まずい」
しか言わないけど、必ず毎回残さず食べてくれることが凄く嬉しいんだよね
やっぱり智樹は私のご飯美味しいって思ってるからじゃないの…?
多分そうだと思うけど
私はふっと笑って智樹の隣に座った
next_
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。