第38話

短編集38 yg
1,675
2020/02/23 13:52


ユンギのことがすきでわたしから告白した。
ダメ元だったけどオッケーもらえて
ほんとに嬉しかった。

付き合って半年。ユンギにすきなんて
言われたことないけど、
それでも良い。だってわたしはすきだし、
こんなアホで元気だけが取り柄みたいな
わたしと付き合ってくれてることが奇跡だから。


ユンギはバスケ部だからいつも部活が終わるまで
学校で時間を潰してる。
ときどき差し入れなんか持って行ったりするけど
体育館に行くと少し嫌そうな顔される。
それでもめげすに持っていくんだけど。


帰りは一緒に帰ってくれる。
わたしが一方的に話してるだけなんだけどね。
ユンギはわたしと居て少しでも楽しいかな?



今日はユンギだけじゃなくてバスケ部員にも
差し入れを持ってきた。
まあただのおにぎりなんだけど。
ユンギはまた少し嫌そうな顔をしてる。
でも他の部員さんが喜んでくれて良かった。


ユンギがおにぎり食べ終わったら
マネージャーの女の子がユンギを呼びにきた。
去り際に

『さんきゅ』

そんなこと初めて言われた。嬉しい。
1人で喜んでるとマネージャーの子が
フッて笑ってきたから、
とりあえずニコッて笑顔で返した。


帰り道ユンギが

『もう差し入れ持ってこなくていい』

って言ってきた。
せっかく初めてありがとうって言われたのに。

「え?なんで!?」

『…いいから』

「でも今日ありがとって言ってくれたじゃん」

『…迷惑だから。集中したいし』

「……そっか分かった。ごめんね」

やっぱり嫌そうな顔してたのは
迷惑だからだったんだ。気付いてたのに。
差し入れしたいなんて自分のわがまま。


きっとわたしがこうやって部活終わるの待ったり
話したりしないとこの関係は成り立たない。
形では付き合ってるけど結局すきなのは
わたしだけなんだよね。



でも今日もまた部活が終わるのを待つ。

『顧問に呼ばれてるから昇降口で待ってて』

そう言われて大人しく昇降口で待つ。
少しして下駄箱のとこにユンギの姿。
駆け寄ろうとしたらマネージャーの子が
ユンギを呼び止めたのか振り返って話してる。

とりあえずその場でその光景を見てると
一通り話し合えたのかユンギが帰ろうとしたら
いきなりマネージャーの子の腕が
ユンギの首に回った。

そのあとマネージャーの子は一礼して
慌ててどっか行った。
え?今のなに?


今目の前でなにが起こったのか理解できなくて
固まってたらユンギが来てて

『帰るぞ』

っていつも通り。え、わたし見てたよ。
なにも言ってくれないの?
わたしに言う必要はないってこと?

一気に不安が押し寄せてくる。
その場から足が動かない。
でもユンギはそのまま歩き出してる。


付き合ってくれてるってことは
ユンギも少しくらいすきなのかなとか思ってたけど
やっぱりそんなことないのか。
涙で視界が歪んでいく。


『なに、泣いてんの』

帰ったと思ってたのに。
黙ってるわたしをみてため息をつくユンギ。
さっきのこと聞かなくちゃ。


「さっき、マネージャーの子となにしてたの?」

『は、なにって別に。
 話があるっていうから聞いてただけ』

うそ。わたし見てたよ。

「なんで、なんで。話し聞いてただけなのに
 キスしてるの?」

『…は?なに言ってんの』

「なにって、さっき!女の子ユンギの首に
 腕回してたじゃん!」

『あー、あれね。』

あーあれってなによ。
わたしとだってそんなにしてくれないくせに。

『…告白された。彼女いるからって断った。
 で帰ろうとしたらいきなりGがいるって
 叫び出してああゆうことになった。
 だからキスなんてしてない。
 俺だって迷惑だったっつうの。』

「…‥え?ほんとに?」

『なんでうそつくの。
 俺の彼女はあなたじゃねえの?』


涙が溢れて止まらなかった。
勝手に疑ってしまったことへの罪悪感なのか
キスしてなかったことへの安心感なのか。


「…ユンギは、わたしのことすきですか?」

涙ながらにずっと気になってたことを声にすると

『あたりまえじゃん。だから一緒に居んだろ』


やっぱりすきは言ってくれなかったけど
ただ嬉しかった。


「ユンギー、疑ってごめーん」

って泣きじゃくりながら言うと
はいはいって頭ポンポンしてくれる。


分かりづらいところはあるけど
なんか少しだけ心が近付いた気がした。


いつかすきってユンギの口から聞けたらいいな。

プリ小説オーディオドラマ