第23話

短編集23 yg
1,642
2020/02/07 13:51


あなたに対する気持ちを1杯のコップで
例えるとするなら、
わたしのコップはもういっぱいで溢れています。
あなたのコップは今どのくらい溜まっていますか?



あなたをすきになったのはわたしから。
連絡先を聞いたのも告白したのだってわたしから。
そう考えると今更こんなことで
悩むのはおかしいのかもしれない。


でも今のわたしはなんだかそれが
すごく気になってどうしようもない。
だけど、わたしのことすき?なんて聞けない
だってあなたはそんなめんどくさいの嫌いでしょ?


『どうした』

「え?なにが?」

『最近なんか変』


こんなちょっとした気持ちの変化に
気付いてくれるなんてきっとわたしのこと
ちゃんと見てくれてるから。

とは思っても1度ハマってしまった
底無し沼からは抜け出せない。
自分の気持ちと比べたいわけじゃないけど
今はどうしても気持ちが知りたい。


「え、そう?変わらないけど」

『ん、ならいい』


でもやっぱり口になんてだせなくて
心の中に閉じ込める。
そして1人になると勝手に悩んで苦しくなる。
自分でも分かる。めんどくさいって。


そんなとき1つ年上のソクジンから
連絡があった。よく会う仲の良い先輩ってところだ。
話しがあるからと言われ指定されたカフェへ向かう。
ソクジンはすでに着いていて手をヒラヒラしてくる。
わたしが席につき飲み物を頼むなり


"最近なにかあったの?"

いきなり本題。
とゆうかわたしはそんなまわりが
気を遣うくらい今分かりやすく悩んでるのか。

「え、なんで?」

"なんか悩んでるんでしょ?"

「…」

"ほら。僕で良ければ聞くから"


そう言われとりあえず今の自分の気持ちを
なんとか言葉で表現して伝える。
本人に言えればとっくに解決なのにね。


"そっか、それで悩んでたんだね。
 そのままユンギに伝えてみたら?"

「…無理。」

"なんで?"

「だってそんなめんどくさいの嫌いだから」

"はあー。それで言ったら嫌われるって?"

こくんと頷く。

"信じてないの?ユンギのこと"


そう聞かれて言葉が出ない。
信じてないわけじゃないけど、
でも嫌われるかもって思ってるのも事実で。

"ほんとは口止めされてたけど、
 あなたの相談乗ってやって。 
 って言ってきたのユンギだよ。
 俺には言えないみたいだからって
 それでもまだ信じてあげられない?"



「…いってくる」





ユンギの家の前につき深呼吸をする。
合鍵はもらってるけどあえてチャイムを鳴らす。
ガチャと扉が開き少し驚いた顔をしたあと
中に入れてくれた。


「ねえ、今からめんどくさいこと言うよ」

『ん』

「わたしのユンギに対しての気持ちを
 コップで表現するならもういっぱいで
 溢れてるんだけど、ユンギは?
 今どのくらい?」

『…』

しばらく無言が続いたけど口を開いた


『そのコップってどんくらい入んの?
 例えば、俺のコップは1ℓ入るけど
 あなたのコップは500㎖しか入らないとする。
 そしたら同じ500㎖でも俺はまだ半分だし
 あなたのはいっぱい』

「…うん。」




『あなたのコップは今どのくらいか
 手で表してみて』

「え、‥このくらい」

『じゃ俺はこのくらい』

わたしの手よりほんの少しだけ大きく
コップを作ってコツンと当てる。


変な例え持ち出したのに真剣に考えて
答えてくれたことが、ユンギの気持ちも
同じくらいだと分かったことが嬉しくて涙が出る。


「ありがと。めんどくさくてごめんね」

『お前だからめんどくさくねえ』




「すき。だいすき」

『ん、愛してる』


そう言って優しく唇が重なった。



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