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第1話

短編集1 jn
4,299
2020/01/18 05:25

いっぱい食べる君がすき。



「ソクジン、おはよっ」

『あなたおはよ』

僕が席につくなり後ろを向き

「なにがでるかな、なにがでるかな」

なんてリズムにのりながら目を輝かせている。

『今日は、期間限定抹茶プリン!』

「わあー、抹茶だいすき」

そんなことは知っている。
だから買ってきたんだ。


朝から幸せそうに抹茶プリンを
頬張る君はなかなかの、変人だ。


でもそんな幸せそうな顔をみたくて
毎日なにか買ってきてしまう僕の方が
よっぽどおかしいのかもしれない。


お昼の時間になると真っ先に
席を立ち食堂へ急ぐ。

「A定食大盛りで」

いったいこんな細い身体の
どこに入ってるんだろう。


「ごちそうさまでした。
 ソクジン、教室帰ったらおやつ食べよ
 今日はチョコ買ってきたよ」

『あんなに食べたのにまだ食べるの?』

なんて、いつもの会話をしながら
食器を片付け教室へ向かう。


"あの、ソクジンくん。少しいいですか?"


知らない女の子に声をかけられた。
きっとこの雰囲気は告白だろう。
あなたは気を利かせて何も言わずに
教室へ向かって行った。


女の子からの告白を断り教室へ戻る。


『あなた、もうチョコ食べたの?』

ふるふると首を横に振る。

『待っててくれたの?』

ふるふると首を横に振る。

「なんか、食欲なくなった」

体調が悪いわけでもないみたいだし
珍しいこともあるもんだ。


次の日の朝

「ソクジン、おはよ」

『あなたおはよ』

席についてもあなたが振り向かない。
いつもなら目をキラキラさせながら
待っているのに。

『あなた今日はいらないの?』

「‥うん、なんか食欲ない
 昨日の夜も食べれなかった。」

『え!大丈夫?どこか悪いんじゃない?』

「うーん、分かんない。」

と言いながら机に突っ伏する。


昨日の夜からなにも食べてないせいか
体調が悪くなったみたいで
「4限目は保健室で休ませてもらう。」
と言いながらトボトボ歩いて行った。


本当に重症だ、どうしたんだろう。

4限目が終わり保健室へ向かう。
カーテン越しに声をかける。

『あなた入ってもいい?』

「…うん」

『体調どう?お昼は食べられそう?』

「…ねえ、ソクジン」

『ん?』

「…‥好きかもしれない」

『ん?なにが?』

「…ソクジンが」

あまりに突拍子もないことに
びっくりして声を出せないでいると

「こないだの告白断った?」

って聞いてくるから

『もちろん断ったよ』

と答えると、ふふっと笑って

「あー、お腹すいた!
 ソクジン食堂行こう!」

って、君のキラキラした顔に



さっき告白したの気付いてる?
昨日の僕の告白の返事が気になって
だいすきな食べ物も喉に通らない。
それくらい僕のことがすきってことでいい?



って問いただすのは
お昼ご飯を食べてからにしよう。



いっぱい食べる君がすき。

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