第14話

短編集14 jk
1,850
2020/01/27 05:34


憂鬱な学校への通学路。

だいすきな後ろ姿を見つけ、
駆け出す。


「ぐぅ〜ちゃあーん!おはよ」

『…』

「ぐぅちゃん、学校まで一緒行こう」

『‥うるさい、やだ』


悪態つきながらも歩幅は
わたしに合わせてくれる。
ずるいよ、ほんと。


「ぐぅちゃん、すき」

『‥俺はきらい』


こんなやり取りは日常茶飯。
でもやっぱりきらいって言われるのは
傷つくな。足が止まる。


『‥なに、行かないの』

「行く!」


わたしの心を掴んで離さない
やっぱり、ずるいよ。


あなたのことを好きな人なんて
この学校にはたくさんいるはず。

ほらその証拠にあなたが通れば
周りの女の子たちはキラキラした瞳で
頬を赤く染めている。


きっとわたしもそんな中の1人に過ぎない。
あなたの特別になりたいのに。




足が軽くなる学校からの通学路。
まただいすきな後ろ姿を見つけ
駆け出す。


「ぐぅ〜ちゃあーん!駅まで一緒行こ」

『…』

「ねえ、ぐうちゃーん」

あと1歩追いつく手前。
ッドテ。
何もないところで転んでしまった。


周りに他の生徒もたくさんいるから
さすがに恥ずかしい。


顔をあげると振り返ることなく
歩いて行く後ろ姿。


「…いててて」

邪魔にならないように端に避ける。


膝には血が滲んでいた。


こけたことによる羞恥なのか
擦り傷の痛みなのか
あなたが振り向いてくれないことへの
悲しみなのか。


涙が滲む。


『はあー、何してんの?』


顔をあげると少し怠そうな姿。
先に帰ったんじゃないの。
戻ってきてくれたの。


「‥ぐぅちゃん、ちゃんと諦めるから
 諦められると思うから、だから

「『もう少しだけ
  すきで居ても良いですか?』」


「え?」

声が重なりびっくりしていると、


『もう聞き飽きたから。
 ほら、帰るぞ』


そう言って手を差し伸べてくれる。



「ぐぅちゃあーん、だいすきー
 ありがとー」

泣きながら叫ぶように言うと

『あーもう、うるせえから泣き止め』


なんて言いながら優しい笑顔。
あっとゆうまに涙なんて引っ込んだ。




"おーい、グクー!あなたちゃーん!"

声のする方を見ると、

「あ、ジミンちゃーん!
 今日はありがとねー!ばいばーい!」

『‥は?』

「ん?あ、今日ねジミンちゃんに
 相談乗ってもらってたんだ」

『‥お前、顔が良かったら
 誰でもいいのかよ』

「え、え、もしかして
 ぐぅちゃん妬いてるの?」

『は、誰が。やっぱ1人で帰る。』

「冗談だよ!一緒帰ろう。
 それにぐぅちゃんだから
 すきなんだよ!」



そう言って一緒に歩き出す。

あなたの後ろ姿を見つけるのは
得意になっていた。
そろそろあなたの隣を歩きたい。






"(グクも意地張ってないで早くすきって
  言えば良いのに。)"

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