第33話

短編集33 yg
1,547
2020/02/15 13:42


聞いてしまった。


『俺、すきなやつ以外からチョコもらわねえから』


わたしも今年は勇気出してみようなんて思って
張り切って準備してきたけど、
すきな人居たんだ…。


無愛想なんだけど嫌な感じじゃなくて
雰囲気とか空気感とかそんなの含めて
ああすきだなって気づいた。


地味にモテてるのは知ってた。
うん、そりゃそうだよ。
だってなんだかんだ優しいんだもん。


だからバレンタインってゆうイベントに乗っかって
って思ったけどあっけなく終わってしまった。


すきな人からしかもらわないって
もらえる予定があるってことだよね?
それってつまり彼女…?

こうゆうときってなんでこんな冷静に
頭働くんだろ。


朝からあんなの聞いたらもう教室なんて
行く気にならない。ユンギ前の席だし。

それでも重たい足をなんとか動かして
時間ギリギリに教室に入ると
ちょうどよくチャイムが鳴った。


昨日、遅くまで作るのに時間かかったから眠たい。
今はユンギのこと見たくないし机に突っ伏する。
いつの間にか寝ちゃってたみたい。


『おい、起きろ』

その声でバッと顔をあげる。

『ふ、次移動だけど』

「え、うそわたし寝てた?
 てかなんでみんなわたしのこと置いてった?」


今はユンギと一緒に居るの辛いのに。
一生恨む友よ。起こしてよ。


『あ、俺が起こすから良いって言った』

「そうなんだ、ありがと。…なんか用だった?」

『…』

「‥え、ユンギ?」

って首を傾げる。

『…なんもねえ、行くぞ』

腕掴まれて連れて行こうとするから

「ちょ、まだ準備してない」

『はやくしろ。』

ってさっきのなんだったのか気になるし
一緒に居るの辛いとか思ったのも一瞬で
やっぱり一緒に居れると嬉しい。



結局、朝のことがなんだったのか分からないまま
帰りのHR。ユンギの後ろ姿眺めながら
もうチョコもらったのかな。とか考える。


HR終わってさあ帰ろうと思ったら

『あのさ』

ってユンギが振り返る。

「ん〜なに?」

『‥もう帰んの?』

「うん、そうだけど。なんかあった?」

『…』

「ユンギ?」

なに、朝から。同じやりとり。
ん?って首を傾げると
あーもう。って頭ガシガシしてる。


『‥俺にチョコねえの』

「…ちょこ?」

『…』

え、なに言ってるの?朝すきなやつ以外から
もらわないって言ってたじゃん。

「…あるけど。わたしので良いの?
 すきなやつからじゃなくて良いの?」



『…‥から。』

「え?なに?」

『すきだから、お前のがほしいの』

「ユンギがわたしを、すき?」

なんでこうゆうときって頭働かないんだろ。


『ん。だからちょうだい』

「あ、はい。どうぞ」

まだいまいち状況理解してないけど
カバンから取り出して渡すと優しく微笑んだ。


「…ねえ、すきなやつ以外からもらわないって
 なんでわたしが準備してる前提?」

『は、だってお前俺のことすきだろ』

って片方の口角持ち上げながら言われて
一気に顔が熱くなる。
なに、その自信満々な感じ。


「そうだけど!」

ってちょっと強めに言うとははって笑ってる。




『あなた。すき。』


「わたしもすき」

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