第22話

短編集22 jm
1,582
2020/02/07 05:08


君が俺をすきなことなんてばればれ。


登校中君を見つけて後ろから声をかける。

『あなたちゃん、おはよう』

「あ、ジミンくんおはよう」

分かりやすく頬を染めている。

『あ、髪になんか付いてるよ』(嘘だけど)

「え、ほんと?」

髪をおもむろに触って慌ててるから
『はい、とれたよ。』
ってとった振りをして言うと、

さっきよりも更に顔が紅く染まる。
この顔が見たくてついつい意地悪してしまう。

「あ、ありがとう」

ほんとかわいい。


"〈おはよう〉"

後ろからテヒョンとソヨンちゃんの声。

〈え、あなた顔真っ赤だけど
 ジミンになんかされたの?〉

って、俺を睨みながら言うソヨンちゃんは
あなたちゃんと幼なじみで超過保護だ。

「え、なにもされてないよ大丈夫」

〈ほんと?なら良いんだけど〉

ってまだ俺を睨んでる。
でも今までこの子があなたちゃんを
変な男から守ってたと思うとありがたい。

あなたちゃんは自分が可愛いって
自覚してないと思うから。


"で、あなたちゃんになにしたの"

テヒョンがボソッと聞いてくる。

『ん?かわいいよねほんと』

と答えみんなで学校へ向かう。


今日はもうすぐ控えている文化祭の
決め事をする。
俺はソヨンちゃんと実行委員になってるので
司会進行をしていく。

あなたちゃんが俺のことを見つめてくるから
目を合わすとパッと逸らされて‥
ってゆうやり取り3回くらいした
ニヤつく顔をちゃんと保つのが大変だった。


結局、出し物は喫茶店になった。
でもなぜか服装が
女子は男子の長袖体操服に猫耳と尻尾。
男子は普通にYシャツ制服に猫耳と尻尾。

決めたやつ曰く、
女子の萌え袖が見たい!だけらしい。


買い出し係はクジで決めることになった。
とりあえず材料の下見だから男女1人ずつ。
実行委員以外のみんなでクジを引く。


買い出し係はあなたちゃんと
テヒョンになった。

なんで俺は実行委員なんだろうと後悔したけど
もう1人がテヒョンで良かった。


次の日から文化祭の準備が始まった。
早速、買い出し班はこの時間を利用して
下見に行くみたい。


『テヒョン、あなたちゃんに
 変なことするなよ?』

ないとは思うけど釘を刺しておく。

"エヘヘ、どうかな"

なんて言って笑うから肘で軽くお腹をこつく。


『あなたちゃん、迷子にならないでね』

って少し笑いながら頭をポンっとすると、
少しびっくりした顔をして

「な、ならないよ。テヒョンくんもいるし」

と顔を真っ赤にして言う。


実行委員の会議中も2人のことが
気になって仕方ない。
あ、そういえば体操服。
あなたちゃんから貸してって言われるかな
顔赤くして必死になって言ってくるんだろうな
かわいいな。ってずっと考えてた。


会議が終わって少しして2人が帰ってきた。
まっさきにソヨンちゃんが
あなたちゃんに駆け寄って

〈おかえり〜、さみしかったよ〜
 テヒョンに何もされてないよね?〉

って確認する。

「そんな何もされるわけないよ〜」

って答えてるの聞いて安心する。


それからメニューの試作したり
飾り付けの準備したりとバタバタしていた。

文化祭まであと2日。


そういえばまだ体操服言われてないな。
もしかしてもう誰かに頼んだとか?
って思ってると


「ねえ、ジミンくん」

と声をかけられる
これは絶対体操服のことだと思ったけど

『ん?どうした?』

違ったら恥ずかしいしとりあえずそう
返事をする。

「あ、あのね。文化祭で着る
 た、体操服なんだけど…
 貸してもらえるかな?」

俯いて一生懸命な君。また意地悪したくなって


『あ、ごめんね?
 もう貸す子決まったんだ』

すぐに嘘って言うつもりだったけど

「あ、そっか。分かったありがとう」

って走って行ってしまった。
すぐに追いかけようと思ったけど
名前呼ばれて、文化祭の準備に追われた。
あとでちゃんとさっきのは
冗談だと伝えよう。


いろいろ終わって教室に戻ってきて
あなたちゃんを探すけどいない。

ソヨンちゃんがそこらへんの人に
あなたは?って聞いたら
買い出しに行ってるらしい。
買い出し班の帰りを待つしかない。


やっと戻ってきたあなたちゃんの
顔を見ると、少し目が赤い?


〈え、あなたどうしたの?泣いたの?〉

「え、いや。これは…」

"あ、さっき目にゴミが入ったんだよ
 ね、あなた"


ん?あなた?呼び捨て?
テヒョン今まで呼び捨てじゃなかったのに


とりあえずあなたちゃんのところへ行って

『あなたちゃん、さっきの体操服の
 ことなんだけど』

「あ、さっきはごめんね。
 もう他の人にお願いしたから大丈夫だよ」

『‥え?誰に借りるの?』

「…テヒョンくんが貸してくれるって」

『そうなんだ、よかった』


そう言ってテヒョンのところへ行き、
人があまりいないところへ連れて来た。


『ねえ、どうゆうこと?
 なんでお前が体操服貸すの?』

"お前こそどうゆうつもり?
 なんですきなのに泣かしてんの?"

『っ!それは…』

"理由、聞かなかったけど
 俺に体操服貸してって言ってきたから
 だいたい想像つくけど。"

『…』

"はあー。とりあえず貸すって言ったけど
 俺、ソヨンに貸すと思うし
 あなたにはお前からちゃんと言えよ"

『ありがと、テヒョン。
 でも、呼び捨てすんなよー!』

ニシシって笑いながらなんか
してやったりな顔のテヒョンにイラッとしつつ
俺はなんて良い友達を持ったのだろう。


教室に戻りあなたちゃんに声をかける。


『あなたちゃん、ちょっと良い?』

〈は?あなたは今、わたしと!〉

"はいはい、ソヨンは俺の相手"


行こって言いながら手を引き
静かな場所に移動する。


『あなたちゃん泣いたの?』

「…泣いてないよ」

『うそ、泣いたんでしょ?』

「…泣いてない」

『ごめんね?俺別の子に体操服貸すって
 言ったけどあれ嘘なんだ。』

「…え?」

『ほんと、ごめん。
 必死になってるあなたちゃんが
 可愛くてつい』

「…え?」

自分がなんて言われてるのか
理解できていないのか
キョトンとして必死に考えてる。

そんな君が本当に愛おしくて、
ギュッと抱きしめ

『だから、俺はあなたちゃんのことが
 すきなんだけど』

そう言って腕の中に目を向けると
胸に顔をつけてるけど耳が真っ赤な君。


『あなたちゃんも俺のことすきでしょ?』


って言ってみたけど反応がない。
渋々、抱きしめていた腕をほどいて
顔を覗こうとすると

両手で顔を隠している。
そんなことしても真っ赤なのばればれ。

『あなたちゃんがすきだよ。
 あなたちゃんは?』

って聞くと

手で顔を隠したまま

「すきです」

と答えてくれた。
嬉しくなってまた抱きしめた。


『じゃあ、体操服は俺が貸すから
 テヒョンのはだめだからね』

「…でももうお願いしちゃったし
 失礼じゃないかな?」

『俺、人の着てるとこなんて見たくないよ?』

「…うん、ありがとう」

って頬を赤く染めながら笑う。


2人で教室に戻ると何かを察したのか

〈え、あなたもしかして〉

って泣きそうなソヨンちゃんに対して
顔を真っ赤にするあなたちゃん。

〈わたしのあなたが〜〉

「ソヨンのこともだいすきだよ」

〈あなた〜わたしもだいすき〜〉


"も"って言ってくれたことが
なんかすごく嬉しかった。


「あ、テヒョンくん。
 体操服なんだけど…」

"ジミンの着るんでしょ?いいよ!
 ってことでソヨン俺の着れば?"

〈は〜?なにその上から目線
 まあまだ借りてなかったから着て
 あげてもいいけど〉


って、さっさとこの2人付き合えばいいのに。



2人のこのやり取りを見て
あなたちゃんは察したのか、
ハッて顔をしたあとに
幸せそうに俺を見て笑った。



この笑顔は俺がずっと守るから。











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