第33話

クレアの正体
1,188
2018/08/15 23:23
後ろを向くと、軍服姿の女性が立っていた。
黒のショートカットに薄い化粧、腰には刀が
鞘に収められている。
三鷹琉依
貴方が…
クレア
クレアだ。
何故、軍服姿なのか。
何故、天才ゲームを開催したのか。
何故、ここはあの草原なのか。
いろんな疑問が私の頭を埋め尽くす。
クレア
…さっきの歌を歌えるなら、
三鷹琉依。君がレミの後継者
だね。
三鷹琉依
どうしてそのことを…
クレア
私は都市の軍人だ。監獄の歌姫
が脱走したことで私に拘束する
ように都市は命じた。その歌は
歌姫レミのオリジナル、伝わる
昔話でも知られていないから、
知っているのは彼女とライの
2人だけだ。
三鷹琉依
は、はぁ…
クレア
ここで拘束したものの、レミが
暴れるもので私の部下が勝手に
射殺したのさ。ライも自殺して
しまって私は拘束失敗と見なさ
れ処刑された。
三鷹琉依
そうだったんですか…
クレア
ああ…
三鷹琉依
あの…
クレア
ん?
三鷹琉依
私は貴方にどうやって殺されるんですか?
どうせなら痛くない方法がいいと考えていた
ので恐る恐る質問してみる。
クレア
殺す?その必要は無い。
三鷹琉依
え?
クレア
死ぬ人はさっきの吹雪の中で、
凍え死ぬよ。
三鷹琉依
けど、何か溶けましたよ?
クレア
凍え死ぬのを回避する方法が、
一つだけある。それはレミの歌
を歌うことだ。死を回避する者
はレミかライの後継者となる。
三鷹琉依
何でそんなことを?
クレア
私が探していたからだ。代々、
人の心を読む能力は親から子へ
伝わっていた。しかし、レミは
子を産む前に死んだから能力の
行方が分からなくなったのだ。
能力を受け継いだレミの家系は
全員頭がかなりよく綺麗な黒髪
という特徴があった。そこから
レミを探す為に、天才ゲームを
始めた。
何か難しい話だが、何となく分かった。
三鷹琉依
夢の中で見たレミの姿は今の私
そっくりなんだけど、関係とか
あったりしたんですか?
クレア
能力を持つ者は幼い頃から牢屋
に監禁することになっている。
君の場合は遅れたが、それが君
の生活の元になったと思う。
本当にすまないと思っている。
クレアは帽子のつばを持ち、眉を下げた。
クレア
君もレミも能力は使いこなせる
から、そんな人生を送る必要は
ない。だから、脱走するんだ。
三鷹琉依
いやいや、無理ですよ。
クレア
いや、君なら出来る。味方って
いうのは案外近くにいる。
三鷹琉依
う〜ん…
クレア
その人生を続けるか、脱走して
新しい人生を歩み出すかは君が
決めることだ。私に言えるのは
味方は近くにいるということ。
三鷹琉依
近く、かぁ…
あの部屋の近くに味方なんて…
クレア
そろそろ時間だな、三鷹琉依。
君を元の場所に戻そう。君なら
きっといい判断が出来る筈だ。
レミにもよろしくと伝えといて
くれ。
三鷹琉依
はい…
クレア
それじゃ、達者で。
クレアはそう言うと手を叩く。すると、私の
体は浮きそのまま意識が遠のいていった…

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