天才ゲームが終わりスグのこと。
俺は軽音部のメンバーに話して本格的にプロ
デビューをした。若くして波に乗れた俺達。
スグに全国に名前が広まるようになった。
香織とは何回か会った。今は看護師をして、
休みには千葉へ琉依を探してくれている。
テレビで俺は建築家夫婦殺害事件のことを
話し、行方不明の少女を探していると話す。
暫く経って、俺達のバンドは10年目を迎えた
今日はお祭り会場近くで特別ライブをする
ことになっている。
メンバーの言う”あの曲”とはライとレミだけ
が知る歌姫が作った曲。歌詞はまだメンバー
に教えていない。
円陣を組み、声を出すとライブは開始。
俺も休みさえ出来たら千葉へと出向いていた
このライブが終われば明日は休みだから、
勿論千葉へ行く予定
歌姫の曲は打上花火があがる前に発表する。
夕方から歌い続け、2時間。
歌姫の曲の発表の時がやってきた。
俺にはあの高い音が出せない、少しキーを
下げて歌っていた。凄い明るい系ではない
この曲はみんなが静かに聴いている。
すると…
…原曲の高い音で歌う声が何処からした。
え…この曲は多分、俺と琉依しか……
…いや、香織が知っている?琉依から聞いた
可能性だってあるし…
歌いながら様々な考えが頭を巡る。
それに琉依はもう……
最後まで歌い終わり、花火のカウントダウン
が始まった。
そう言って、メンバーの1人がステージから
いなくなった。観客も騒然とする中、仕方
なくカウントダウンが始まる。
その瞬間、誰かが俺にぶつかった。
夏なのに全身黒いマント着て、フードを被る
不思議な人。ジャラジャラと何かが擦り合う
音が鳴っている。
すると、舞台袖から…
香織が泣き、笑いながら俺に手を振る。
まさか…
俺は慌ててしゃがみ顔を見る。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!