第30話

最後の脱落者 side隼翔
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2018/08/12 22:58
クレア
…思ったより早く終わったね。
まぁ、優勝出来るのは2人だけ
だから次は黒チームの中で殺し合いをしてもらうよ。
和田哲也
おい、隼翔。どうしたんだよ…
百原隼翔
…碧川、宇野、九ノ瀬、殿田、
丹坂。全員都市の人間だった。
そして、都市の人間のせいで…
…死ぬ理由が無いレミは死んだ
んだ!!
三鷹琉依
レミって…
琉依がそう呟くが今の俺には届かない。
俺はナイフを持ち直し、莉世の方へ。
碧川莉世
え、は、隼翔!?
四宮陸
ちょっと、待てって!!!
陸と哲也が俺の両腕を掴む。
百原隼翔
都市が規則を作るからだ!!!
俺は何故か涙を流しながら叫ぶ。
百原隼翔
クソ…っ…!!
三鷹琉依
…ジン。
ジン
はい。
琉依のヘルパーのジンが現れ、俺と香織、
琉依以外の3人の姿が消える。
伊藤香織
あ、あれ?みんなが一瞬で…
百原隼翔
はぁ……はぁ…………
クレア
もう残り3人になったのか。
最後の1人は、私が直々に手を
下すことになっているのでな。
声がすると、空中に光る球体が現れた。
クレア
3人で話し合い、殺される人を
決めろ。
三鷹琉依
え…
伊藤香織
そんな、無理だよ…
百原隼翔
無理じゃねー…俺が行く。
俺は腕で涙を拭うと立ち上がった。
三鷹琉依
い、いきなり何を…?
百原隼翔
茜チームを殺したのはこの俺。
だから、最後に罪を償うのも、
俺だ。
伊藤香織
いや、私が行く!!
百原隼翔
俺でいいんだ、本当に…
いくら先祖が都市の人間だったからと言って
同じ名字の彼らに罪は無い。なのに、俺は
殺した。
百原隼翔
…だから、琉依と香織。元気に
暮らしてくれよ。
せめて、最後は泣かないように。そう思い、
俺は引き攣った笑顔で笑うと空中に浮いて
いる黒い球体に向かって手を伸ばす。
すると…
三鷹琉依
……隼翔。
百原隼翔
ん?
立ち止まり振り向くと、琉依に腕を引かれ、
そのままキスをされた。
それは涙の味がして、とても優しかった。
そして、琉依が泣いていることが分かる。
百原隼翔
え…
三鷹琉依
…馬鹿だね、隼翔は。私は恨み
なんて無い。ただ君が…ライが
そばにいてくれただけで充分
幸せだった。
百原隼翔
ライって、まさか…!
三鷹琉依
私に心残りは無い。私は隼翔の
ことが大好きになったんだよ。
そう言って、琉依は涙に濡れた顔で笑う。
そして、俺の横をすり抜けると黒い球体に
触れたのだ…
伊藤香織
琉依!!!
黒い球体は琉依を包み、空中に浮く。
すると、琉依の服装が白いワンピースに白い
短パンに変わり左手首に枷が付いた。
黒い球体の中に吹雪が吹き始める。
百原隼翔
琉依!何でだよ!!
三鷹琉依
私は…無感情で、何も無くて、
空っぽだった。感情をくれたの
はみんなで初めて人を助けたい
って思った…だからだよ。香織
と隼翔のことは大好き。短い間
だったけど、ありがとう。
琉依が言い終わると同時に、黒い球体は琉依ごと消えてしまった…
百原隼翔
う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!
俺と香織しか残らないホールに泣き叫ぶ俺の
声が響き渡っていた…

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