琉依がそう呟くが今の俺には届かない。
俺はナイフを持ち直し、莉世の方へ。
陸と哲也が俺の両腕を掴む。
俺は何故か涙を流しながら叫ぶ。
琉依のヘルパーのジンが現れ、俺と香織、
琉依以外の3人の姿が消える。
声がすると、空中に光る球体が現れた。
俺は腕で涙を拭うと立ち上がった。
いくら先祖が都市の人間だったからと言って
同じ名字の彼らに罪は無い。なのに、俺は
殺した。
せめて、最後は泣かないように。そう思い、
俺は引き攣った笑顔で笑うと空中に浮いて
いる黒い球体に向かって手を伸ばす。
すると…
立ち止まり振り向くと、琉依に腕を引かれ、
そのままキスをされた。
それは涙の味がして、とても優しかった。
そして、琉依が泣いていることが分かる。
そう言って、琉依は涙に濡れた顔で笑う。
そして、俺の横をすり抜けると黒い球体に
触れたのだ…
黒い球体は琉依を包み、空中に浮く。
すると、琉依の服装が白いワンピースに白い
短パンに変わり左手首に枷が付いた。
黒い球体の中に吹雪が吹き始める。
琉依が言い終わると同時に、黒い球体は琉依ごと消えてしまった…
俺と香織しか残らないホールに泣き叫ぶ俺の
声が響き渡っていた…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。