第37話

ゲームの目的 sideクレア
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2018/08/20 12:45
私が天才ゲームを始めた理由はレミに謝る為
だった。
あの子は本当にいい子だ。常に人のことを
思いやれる優しい子。
そんなレミを産んだのはこの私だ。
私も昔はレミや彼女のように牢屋暮らしで
暴力を受け続けた。もちろん、私にも彼女達
と同じ能力を持っていた。
子を産めば、親の能力は無くなる。
それが代々伝わり、都市も能力を持つ者が子
を産めば、親は解放されるようにしていた。
私は18歳頃まで耐え続けたが、やがて、心が
折れ私は子を産むことを決意した。
同じ思いを自分の子にさせるのは物凄い辛い


そんなこと分かっていたのに私はレミを産み
解放された。レミが能力を初めて発動した
のは6歳の時。レミは拘束され、地下の牢屋に閉じ込められた。
私はせめて近くでレミを見守ろうと思い、
軍人になったのだ。
仕事はただただ監視室でモニターから牢屋の
状態を見ているだけ。レミが暴力を受けて
いるのを見るのは心がかなり痛かった。
そんなある日、罰の時間以外の時に牢屋に
近づく人影が見えた。
クレア
ん?
軍人
中佐、何かありましたか?
クレア
…いや、何でもないよ。
牢屋に近付いて来たのは、一人の少年。
大きさ的に娘と同じくらいの年齢か…
娘は少年に話しかけ、少年は驚いた顔。
どうやら、娘が能力を使用したらしい。
私だって情くらいはある。
毎日、牢屋に訪れ娘と話す少年を私は通報を
せずにただただモニターから見ていた。
少年の話を聞き、娘はたまに笑っている。
娘が笑うならそれでいいような気もした。
しかし、少し経ったある日…
クレア
…………しまった、居眠りを…
私は少し居眠りをしてしまったのだ。
そして、モニターに目を移すが…
クレア
……緊急報告だ。
軍人
え?
クレア
上に牢屋から歌姫が脱走。スグ
にそう伝えろ!!
軍人
は、はっ!!
時計を見ると、いつも少年が来る時間だ。


彼が連れ出したな……
スグに捜索されたが、もう遅い。
2人は何処からも見つからず、壁の外に出た
のではないか?と話が出た。
軍人
クレア大佐、貴方が監獄の歌姫
捜索の先頭に立て。
クレア
はっ。
上からの命令、従うしかない。
部下を連れ、私は壁の外へ探しに行った。
2人はスグに見つかり、ライと名乗る少年に
娘はレミと呼ばれていた。
拘束したものの、レミは暴れ都市から射殺
命令が下る。
私は止めたが、部下の1人が発砲。私の娘、
レミの命は奪われた。
せめてライは保護しようとするが、彼の自殺
を止めることは出来なかった。


その後、私の不注意として処刑。
レミには大変申し訳無かった。私が自由に
なりたかったばかりに…
きっといつかレミの後継者となる者が現れる
だろう。黒髪に誰よりも優れた知能と体力、
そして人の心を読むことが出来る人物が…
クレア
…謝罪をするためだ。すまない
が大勢の犠牲は必要になる…
そう呟き、死んだ私は霊となりレミの後継者
を探し謝罪する為に天才ゲームを始めたの
だった…

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