第36話

俺の思い side隼翔
1,203
2018/08/21 16:46
顔には痣があり、少し髪もボサついてはいる
ジャラジャラと鳴っていたのは手首について
いる枷の鎖がぶつかり合う音のようだ。
懐かしさにまた会えた嬉しさに思わず俺は
琉依を抱き締めた。
三鷹琉依
ちょっ…隼翔…!?
百原隼翔
本当に良かった…っ…
メンバー
えーと、メンバーの隼翔が探し
続けた事件の行方不明の女の子
がやっと見つかりました!皆様
どうか拍手をお願いします!!
他のメンバーがマイクでそう言ってくれ、
観客から拍手が上がり、そして花火が上がる
三鷹琉依
ね!あれ何?
少し輝いた目で空を指しながら俺に聞く。
百原隼翔
花火、知らないのか?
三鷹琉依
まぁ、うん…あ!ライブ応援
してるからね!終わったらまた
話そ!
琉依は香織の方に走ってステージからいなく
なり、俺達のライブは再開した。
たまに舞台袖が気になるが観客の方を向いて
精一杯歌いきりライブは終了する。
楽屋…
楽屋に戻り、琉依を連れて来たメンバーの
直己に話を聞く。
百原隼翔
直己、琉依は?
直己
さっき香織ちゃんがシャワー室
借りるって言って連れてった。
百原隼翔
てか、顔も知らないのにどう
やって見つけたんだよ。
碧叶
いやぁ、直己と屋台見に行って
たら、川の近くに1人で座って
いたの見つけてさ。何かジャラ
ジャラ鳴ってたから声かけたら
街のテレビで見た俺達のバンド
を探してるって言ったから。
直己
そうそう!で、もしやと思って
少し話を聞いたら、琉依ちゃん
って子で香織ちゃんに電話して
来てもらったら本物だったって
わけだ!
百原隼翔
そうか…本当にありがとう。
碧叶
いいってことよ!
少し待つと、香織付き添いで琉依が来た。
伊藤香織
ほら〜、可愛いでしょ!
直己
可愛いっていうより綺麗系じゃ
ないか?
碧叶
おい、隼翔が嫉妬するから
やめとけってw
百原隼翔
うっせー…
三鷹琉依
あ、これ、ジンが…
そう言って、持っていた小さめの鞄から一通の封筒を取り出し、俺に渡してきた。
百原隼翔
ジン?
中身は手紙のようで…
百原隼翔様へ

お久しぶりです、テレビでのご活躍私もよく
拝見させていただきます。琉依様のことなの
ですが、クレア様がレミ様の後継者を探して
いたということでレミ様の頭の良さと優しさ
から最後まで残り、最後は自分から犠牲へと
なることを予想していました。なので、琉依
様は殺されることなく、戻ってきました。
戻ってからは、高校卒業後は大学に通わず、
部屋にい続けました。隼翔様と香織様の元に
着く頃はまだ痣が残っている可能性が高いの
ですが、琉依様をよろしくお願いします。

ジンこと琉依の従兄弟、三鷹幸樹より
百原隼翔
え…
ジンが琉依の従兄弟って…まぁ、いいか。
百原隼翔
ありがとう。
三鷹琉依
うん!
礼を伝えると手紙を鞄にしまった。
百原隼翔
あれ…他のみんなは?
手紙を読んでいて気付かなかった、気付くと
俺と琉依以外が全員いない。
三鷹琉依
トイレとか、自販機行くとかで
みんな少し出て行くって。
百原隼翔
へ、へぇ…
これ、絶対にわざとだろ……
そう思いながら琉依を見ると、不思議そうな
顔をして俺のことを見てくる。
三鷹琉依
隼翔、背が大きくなったね。
百原隼翔
そうか?
三鷹琉依
うん、前より差が広がってる。
言われてみれば、目線の高さが高くなった
ような気もする。
百原隼翔
琉依は…前よりも綺麗。
三鷹琉依
………え?
百原隼翔
…なぁ、琉依。
もうここまで来たら……あの時、言おうと
思っていたこと。そして、今思うことを…
いきなり名前を呼ばれ、再び不思議そうに
している琉依の両手を握り、目を見る。
三鷹琉依
ど、どうしたの…?
百原隼翔
あのゲームの時から、俺は琉依
のこと好きなんだ。だからさ…
…これからは俺と一緒に生きてくれませんか?
謎の敬語を使いながら俺は言い切った。
すると、彼女は…
三鷹琉依
はい…!
赤くなり、笑い泣きながら少し震えた声で、
そう返事をしてくれたのだった…
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