第12話

トレイルレース
1,507
2018/07/31 08:18
トレイルレースとは、道路とかでは無く、
山道などを走るレースのこと。
普通の道とは違い、足元が不安定のため、
充分な注意が必要な競技である。
クレア
チームとの協力も必要になる。
天才は学力だけじゃなく、仲間
とのコミュニケーションもいる
からね。32kmコースを走る。
制限時間は7時間。ゴールする
時は生きているメンバーと全員
でしないと無効。それでは、10
分以内にチームごとに集まり、
作戦会議をしてください。
一斉に人が動き出す。私も探していると…
伊藤香織
琉依、おはよ!
三鷹琉依
おはよう。
伊藤香織
昨日は大丈夫だった…?
三鷹琉依
うん…まぁ、大丈夫だよ…
伊藤香織
そっか、今日も頑張ろうね!
三鷹琉依
そうだね。
伊藤香織
あ、いたいた!
香織が他のメンバーを見つけ、駆け寄る。
みんなも元気そうだが、明らかに私に対する
態度は違う。
クレア
上位30位以内に入れなかった
チーム、制限時間内にゴール
出来なかったチームが負け。
それでは、よーい、スタート。
四宮陸
え、もう始まったし。
碧川莉世
早く行こ!!
和田哲也
おう!
他のチームも走り出し、黒チームも走り出す
私は黒チームのあとを黙って追うだけ。
最初の方は緩い坂だが、進むにつれて坂は
急になっていく。
この中で一番、足を引っ張りそうなのは…
碧川莉世
最後まで走れるかなぁ…
寺島唯斗
頑張ろうぜ!
走るのが苦手と言った莉世と、既に汗を少し
かいている唯斗。
上位をキープしながら走って行くと、分かれ
道が見えた。立て札があり、内容は…
今と同じくらいの山道が続くのと、少し短く
なるが、山の昇り降りが激しくなる道。
四宮陸
これ、どっち行く?
伊藤香織
少しでも短い方に行きたいけど
莉世は大丈夫?
碧川莉世
うん…頑張ってみるよ!
和田哲也
それじゃあ、昇り降りが激しい
方だな。
そう言い、進むと立て札通りに昇り降りが
激しくなる。たまにコケたりする人もいた。
四宮陸
おっと…
和田哲也
おいおい、気をつけろよ〜?
四宮陸
ああ…
私は黙って走り続ける。
ここは凄い、天候がだんだん怪しく…
2時間30分走ったところで雨が降り出した。
順位はスマホで確認出来るようになっていた
伊藤香織
ねぇ、今何位?
百原隼翔
えっと…50位中4位だ!
碧川莉世
じゃ、あ…速い方、だねっ!
和田哲也
そうだけど莉世と唯斗、お前ら大丈夫か?
寺島唯斗
大丈夫だ…
碧川莉世
うん…っ…!
現在2時間30分時点で、50位中の4位。
走った距離は短い方を選んだから…30km中の14km。
このペースを保てば、間違いなく上位のまま
ゴールが出来る。
山道は段々とぬかるんでいく。
そして、石を踏み締め走り続ける。
ガタガタの岩をみんなは協力して登る。
私は無言、独りで岩を登りついていく。


スマホを見ると、他のチームがどこを走っているのかが見れた。トップ5は断トツで
かなり後ろに他のチームがいる。
伊藤香織
雨が強くなってきたから、転ぶ
ことがないようにね!
四宮陸
おう!!
右は急な斜面で落ちたら木々が生い茂る暗い
闇に落ちるだろう。コースに戻るのも難しい
すると……
寺島唯斗
わっ!!
唯斗が石に躓き、体が右側に放り出される。
和田哲也
ちょっ、唯斗!?
三鷹琉依
っ…
嫌だけど…親を馬鹿にされてムカつくけど!
私は信じるって決めたから…!!
私は唯斗の手を引っ張り、道側に引く。
すると、想定外のことに…
…私が代わりに急な斜面の方に放り出された
伊藤香織
琉依!!!
三鷹琉依
香織達は先に行って!絶対に
追いつくから!!
私の体は斜面を転がり落ちていく。
全身に木が当たり、枝が切り傷を作る。
私は地面から出てる岩にぶつかり止まった。
雨が私の体温を奪っていく。
寒くて暗いなぁ……
私はそうして、静かに瞼を閉じた。

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