ジンが昨日と同じケーキとコーヒーを用意
してくれる。
そうして、私はホールへ。
ホールに着くと、香織がいた。
その時、話すのとは違う声が聞こえた。
"琉依だ!昨日のお茶会は楽しかったなぁ。"
そういうことね…
私は夢でレミが話していたことは本当なんだ
と実感した。
私は話しながら、能力への驚きから心を
落ち着かせる。
"そうそう!琉依ちゃん出来てるよ!"
聞こえたのはレミの声。
良かったぁ…
係員が出て来て、他のチームの人を分けて
いく。私達のチームはそのままだ。
クレアが言い、陸のヘルパー、コウが説明を
している。
私はコウの説明を聞きながらあることを考えていた。
クレアの声…聞いたことがあるような……
"大丈夫かな?ぼっとしてるけど…"
少しでも心が揺れると能力が発動しちゃう…
何となく隼翔を見ていたら目が合ってしまい
急いで逸らす。
2人が出て行き、残った4人で雑談をして、
時間が過ぎるのを待った。
2人が戻って来て、今度は莉世と哲也がテスト
を受けに行く。
莉世達がテストを受けている時間、私はレミ
の記憶を辿っていた。
聞いた話通りの記憶。汚い路地裏で歌い歩く
レミの姿。その姿には誰もが振り返る。
そんなある日、聞こえた心の声。呟き気持ち
悪がれ、軍人に捕まるレミ。牢屋に連れて
行かれて枷をつけられている。男達の暴力、
言葉にせず心で思う悪口。全てがレミの記憶
に刻まれている。
そして、少年が牢屋前にいる。少年は最初は
驚いた顔をしていたが、やがて優しく笑い、
楽しそうに外の世界のことを話している。
レミは…いい人に出会えたんだね…
けど、私にだって…
いい友達が出来たよ…
私はそして、席から立った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。