俺は密かに琉依に思いを寄せていた。
今まで何人かと付き合ったことはあった。
だが、あんなに綺麗な笑顔で笑い優しい人は
見たことが無い。
最初は無表情で長袖長ズボン、何処か怖いと
いうイメージだった。だけど、ゲームが進む
につれ、そんなことがないことが分かり、
ボーナスステージの時は初めて琉依の笑顔が
見れた。
そこから無表情だった琉依の色んな表情が
見れ、琉依自身が変わってきていた。
琉依に好きな人がいると知って少しがっかり
した。
多分、俺よりもっといい人なんだろうなぁ…
そんな俺、百原隼翔には時間があまり無い。
勝てるのは2人だけ。なら、残すのは琉依と
一番仲がいい香織と大切な琉依だ。残念だが
陸達には死んでもらい、俺も死ぬ。
そんなことを暇な時に考えていた。
…俺はふと莉世の話を思い出す。
監獄の歌姫の話。俺の名字は"百原"だった
けど、何故か話を知っていた。
何故かと言われると分からない。だけど、
見たことがあった。話に出てきた少女…監獄
の歌姫の名はレミ。そして、少年はライ。
夢に出てきた少年は、俺の前世が少年、ライ
だったと言った。つまり、ライの来世が俺と
言うことだ。
最初は信じられなかったけど、ネットで調べ
湖と草原を見た時、行ったことがない場所
なのに行ったことがあるような気がした。
最終日前日。俺は最後の相手となる茜チーム
のメンバーについて調べていた。
茜チームの中の4人の名前に俺は固まった。
宇野桃、九ノ瀬香菜、殿田将汰、丹坂真武
暗い部屋の中、一人で呟く。
俺の知り合いにはいない。だが、この名前に
強い苛立ちを覚えた。
この名字、全部都市の人間の名字じゃん。
それに莉世の碧川だって…
俺には全く関係無い。だが、どうしてもその
苛立ちは収まらない。
ライが怒っている…レミを殺されたから…
俺はそう解釈をした。
クレアが殺し合いの指示を出す。
無言のまま、俺は茜チームを見た。
いきなりのことに戸惑っている。
…が、俺は……ライは凄い怒り、茜チームに
殺意が湧いてくた。
こいつらのせいでレミは…!!
ステージの上に置かれたナイフを手に取ると
俺は茜チームの1人の心臓部を刺す。
チームメイトの声を無視し、俺は茜チームの
人を全員刺し殺した…
そして、俺は睨むように莉世の方を向いた…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。