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第1話

籠の中の天才
2,366
2018/07/28 12:23
私は三鷹琉依(ミタカ ルイ)。
全国NO.1高校、海峰高校の一年生だ。
全教科満点の首席で合格した。
テストで100点以外を取ることは無い。
ちなみに将来の夢なんて、私は考えない。
だって…
私には自由が無いからね。
私は幼い頃、両親を殺され、誘拐された。
部屋に鎖で繋がれ、毎日暴力を受ける。
学校には行かせてくれたし、私の部屋も用意してくれた。ご飯だって3食くれる。
体中には痣があったが、そんなのは長袖、
長ズボンで隠し続けたから問題ない。
彼らは私の顔は殴らなかったから…
車で送り迎えをされ、住む場所に着くと、
制服から真っ白のワンピースを着て、真っ白の短パンを履き、部屋に入る。
宿題をして、自分の3学年上の予習をする。
そして、夕飯を食べ終わると…私は殴られ、
蹴られ、新しい痣ができる。
殴り終わり彼らが出て行くのが、大体夜中の
2時くらい。そこからお風呂に入り就寝。
朝になり、遅刻しそうになれば彼らが私を
起こしてくれる。
私は暴力を受ける以外は豊かな生活を送っていたのだ。欲しい物は伝えれば数日後に
渡してくれる。参考書も買ってくれる。
友達がいないが、新聞が無いので政治経済を
知る為に頼むと、パソコンとスマホも買ってくれた。
だから、私は暴力を我慢し、手足を隠すこと
だけを気にしていれば良かったのだ。
私は誘拐され生かされることを誰かに言う
つもりは無い。だって、言って犯人が逮捕
されたところで私には帰る家が無い。
それなら、ここで暴力を我慢して教育費を
払ってもらって好きな物を買って貰う方が
いいと判断した。
彼らも私は逃げないので、逃げ出すこと。
ここに住みたくない。この二つ以外のこと
なら何でも言うことを聞いてくれた。
そんな昔からの生活が続く。海峰高校に合格
した時は何故かケーキで祝ってくれた。
私は特に何も思わず、ケーキを食べる。
笑ったことも無い私は無感情しかなかった。
海峰高校に入り、夏休みになる数日前…
三鷹琉依
ただいまです…
見張り
着替えたら中に入れ。
三鷹琉依
はい…
いつも通り、着替え中に入ると、見張りが
私の左手首に鎖付きの枷を付ける。
最初は重く、腕が持ち上がらないが、今と
なっては軽く感じ、特に支障はない。
利き手は右だが、筋力だけだともしかしたら
左の方が強いかもしれないほどだ。
鎖を引っ張りベッドに転がると、パソコンを
開き、夏休みのバイト探しを始めた。
高校生になったから1つくらい…
笑顔が必要無いのがいいな…
広告を読む中、とある広告が目に入った…
三鷹琉依
ん、天才ゲーム…?
『天才ゲーム』
『全国の天才だけのゲームに参加しよう!』
『優勝者には豪華賞金!』
『高校1年生、男女各400名を募集!』
《参加条件》 
・成績トップ25位以内の人
・学力、体力に自信がある人
参加条件はこの2つだけだった。
三鷹琉依
へぇ…あの、すいません。
見張り
何だ。
扉にはめ込まれている鉄格子から見張りの人
を呼び、画面を見せる。
見張り
天才ゲーム?
三鷹琉依
はい…豪華賞金っていうのも、
気になりますし…応募してみて
いいですか?
見張り
……まぁ、いいだろう。お前も
もう高校生だしな。たまには、
息抜きも必要だ。
三鷹琉依
ありがとうございます。
お礼を言い、パソコンの応募画面を出すと、
名前、学校名等の簡単な入力をすると、私は
Enterキーを押し、応募したのだった…
正直、こんな部屋にいて体力が無さそうに
見えるが、かなりある方だ。
学校のスポーツテストでも断トツトップ。
鎖の重さで鍛えられて、殴られて腹筋とかもついているから…
三鷹琉依
きっと、参加できる…

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