頬杖をつきながら、私は音のなった方へ目をやる。
見慣れた顔に、私は目を下にやってレモンジュースを揺らす。
大人ぶれるんだ、これを飲んでると。
今日も織田や安吾が来ると聞いて、私はここに足を運んだ。
独りならば絶対に来ない、この様な処へ。態々足を運んでやったというのに。
人の観察が得意な此奴に、嘘はつけない。改めて思い知らされた。
くるくると硝子のコップを回すしか、私は出来ない。
…此奴、無自覚かどうかは知らないが偶にキメるな。…うざったらしい。
そうして私達は共に愚痴を言い合い、
家に帰った訳だ。
…そして、
翌日四人で集まった時、太宰が
「 思い出作りだよ。 」
と、
写真を撮った。
そして四人で集まるのは
それが…
” 最 後 ” だった。
其れは何故か。
四人の内一人が…
死んだからだ。
もう数日も陽の光を浴びていない男の部屋を、私はノックする。
意外にも返事は帰ってきて、私は驚いた。
…鍵も開いていた。何だ此奴は。
私は近くにある椅子を引っ張り出し、座る。
私が聞く前に、もう分かっていたらしい。
…流石だな。
確かに。私はもうこの仕事に限界を感じてきている。
なんとも仕事量が凄い。一日に何回尋問してるのか、指じゃあ数え切れない。
…まぁ、それだけでは無いけれど。
…なにそれ、
普段大人ぶってる太宰が、子供らしい顔をしだして、私は思わず笑みが零れる。
深刻そうな顔をする此奴に、またも嘘がバレるやもしれない。
そんな気持ちが頭を過った。
…そんな癖あったんだ。やっぱり、人間観察得意だよなァ、此奴ってば、
…戻る訳ない
だって…
織田と、太宰との約束だもの。
[続]
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。