タタタタタ
2人の幼い子供が公園の中を走り回っている
キャハハハ……
一通り走り終わった2人は、
ベンチに置いておいた荷物を持つと公園を出た
夕暮れのことだ
公園から家はあまり近くはない
いつも、途中のコンビニまで2人で歩いて
父や母を待つのが常だった
ただ、その日は何かが違った
いつもなら母達のいる時間
しかし、コンビニの前にいるのは
いきった不良達だけだった
中に入り、待てど暮らせど両親は来ない
いつもより大分遅くなった頃、
あなたたちは待ちきれずコンビニを飛び出した
なんだか嫌な予感がした
あなたが足をもつれさせてその場に転ぶ
善逸はすぐに踵を返してあなたに駆け寄った
近くに水道もないので、ペットボトルの水を
擦りむいた箇所に掛けてハンカチを結ぶ
善逸があなたの手を握り、再び歩き始める
家は目の前だ
ガチャ
電気は消えていたが、カギは空いている
善逸がドアを引くと辺りに血の匂いが漂った
なぜか家のそこら中に血がこびりついている
幼子が見るにはあまりに凄惨な光景
あなたが青い顔をしてへたり込む
善逸が名前を叫んだが、あなたの目は
固く閉じられたままだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!