その言葉の持つ意味合いも、
感情も、
僕は知っている。
そして、
その言葉の持つ意味合いも、
感情も、
1つだけでは無いことも知っている。
君とは……。
アイは目を赤くして、絶対に泣くまいと堪えているのか、震えた声で言う。
僕の言葉を聞いて、アイの中で今まで必死に我慢していたものが崩れた。
アイは、あの日とは違う涙を流した。
アイ自身が、1番自分を信じられなかったんだ。
言葉に迷う。
アイのことはもちろん好きだ。
掛け替えのない存在だ。
アイを失うなんて、考えたくもないほどに。
でも。
胸が痛い。
また、僕はアイを悲しませている。
その事実が、痛い。
アイは頰に伝う涙を一生懸命ぬぐおうとしている。
しかし、流れる雫は止まらない。
アイは自分の顔を両手で覆う。
アイはそのまま、しばらく泣き続けた。
しばらくして、少しずつアイは落ち着きを取り戻した。
泣かせたのは僕なのに、アイは僕に謝った。
僕のその言葉を聞いて、ようやくアイは泣き止んだ。
アイが微笑んだ。
瞬間、アイの体は魂が抜けたようにその場に倒れこむ。
いくら呼んでも返事がない。
パソコンでアイのデータを見る。
アイの体から、アイは消えてしまっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。