ゾムークを倒したことによって肩の力が一瞬抜けたが、再び緊張が走る。
拘束されているゾムさんに駆け寄り、急いで拘束を解いていく。
ゾムさんを担いで出口に向かう。ゾムさんがあまり揺れないように気を使いながらも、全速力で。
____ゾムさん、俺たちは貴方に助けられてばかりです。恩返しと言っては難ですが、絶対に助けます。
【あの時、俺が罠に引っかかっていなければ…
あの時、俺がゾムークに捕まらなければ…】
俺は募っていく罪悪感を振り払うようにただひたすら走ることしか出来なかった
_____最後に見たゾムさんの涙が忘れられない。
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医務室にて
怪我が酷いためゾムさんは現在手術を受けている。
だから俺たちは、医務室前の廊下に佇んでいた。
重々しい沈黙が流れる。
すると、不意に…
ガラガラ…
医務室のドアが開き、しんぺい神さんが出てくる。
しんぺい神さんが次の言葉を言うまでの僅かな時間がとてつもなく長く感じられる。
____________その僅かな時間でも脅威さんの涙は皆の心を悲しみに染めていく。
________そして我々は、脅威さんという存在の大切さを改めて感じる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。