大きめの音を立ててしまったため、バレてしまったのは偶然ではなく必然だろう。
さて、どうやってゾムさんを助ければいいのか…
ロボロさんが落ちそうになった穴から下を覗くと、下の部屋の大まかな状況を把握することができた。
ゾムさんは、壁に頑丈そうな銀色の金属のチェーンで固定されていて手足も鎖で縛られている。
もちろん気を失っているようで、目を覚ます気配も一向になさそうだ。
普段は慎重に行動するように心がけている俺だが、今はゾムさんが危ない。
自分は、明らかに焦っていた。
何を言ったかと思えば、次の瞬間にはゾムークはさっきまで研いでいたナイフでゾムさんの手のひらを切っていた。
いけない、つい大声を出してしまった…
ゾムークは何がしたいんや…?
行動の意図が読み取れん。
【案ずるより産むが易し】そんな言葉が脳裏を過って…
ダッ
勢いよく床を蹴って、体を宙に浮かせ…
感情が理性で押さえつけられなくなった俺は、ショットガンをゾムークにむけ、2人がいる部屋へと飛び降りた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。