第44話

人質
8,399
2020/10/14 10:34
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目を覚ますと、ゾムさん…いや、ゾムークが俺の前に立っていた。
手足に鎖が繋がれている。武器はもちろん、インカムも奪われているようだ。

辺りを見渡すと、薄暗い地下にいるだろう、ということがわかった。
ゾムーク
ゾムーク
お目覚めのようだね。
ショッピ
ショッピ
最悪な目覚めやで。
ショッピ
ショッピ
…何がしたいんや?
ゾムーク
ゾムーク
ん?別に、何もするつもりはない。
ゾムーク
ゾムーク
君に危害を与えるつもりはないということさ。…ショッピ。
ショッピ
ショッピ
どういうことや⁉︎
ゾムーク
ゾムーク
知りたい?
ショッピ
ショッピ
当たり前やろが!
ゾムーク
ゾムーク
君を人質にするだけさ。
ショッピ
ショッピ
は?
その時…
バンッ
勢いよくドアが蹴飛ばされる音がした。
ゾム
ゾム
ゾムーク!お前…ほんまに何やっとるんや!
ショッピ
ショッピ
ゾ…ゾムさん!
ゾムーク
ゾムーク
…おぉ、ターゲットのご登場だな。
ゾム
ゾム
ショッピ君、何もされてへんよな!?
ショッピ
ショッピ
はい…俺は大丈夫です。
ゾム
ゾム
ショッピ君が無事でよかった…
ゾムさんは一瞬、顔を綻ばせた。
しかしそれは一瞬で、次の瞬間にはゾムークを睨みつけていた。。
ゾム
ゾム
お前…いい加減にしろよ…
ゾム
ゾム
俺の仲間を何度も傷つけて…!
ゾム
ゾム
俺の唯一の仲間を!
ゾム
ゾム
傷つけるだけじゃなくて、挙げ句の果てには捕まえて…束縛して…!
ゾム
ゾム
許されへん!
こんなに怒っているゾムさんをはじめて見た。ゾムさんは、どことなく寂しそうに見えた。
ゾムさんは最後の言葉を放つ。
ゾム
ゾム
もう…やめてくれや。俺のことだけなら、どうしたってええから。
ゾムーク
ゾムーク
…じゃあ、武器を捨て、無抵抗でついてこい。
ゾム
ゾム
これでショッピ君は…助かるよな?
ゾムーク
ゾムーク
あいつは人質だ。当たり前だろう。
ゾム
ゾム
…わかった。
ショッピ
ショッピ
ゾムさん!ダメや!俺のことはええんや!
ゾム
ゾム
…これは俺が選んだことや。後悔はない。
ゾム
ゾム
これで最期になるかもしれへんなぁ…
ショッピ
ショッピ
嫌や!ゾムさん…!
捕まった奴が言えることじゃないってわかってる。でも…!
話している間も、ゾムさんは隠し持っていた武器を次々と捨てていく。
ゾム
ゾム
こんな頼りない俺で…ごめんなぁ…
掠れた声でゾムさんは呟き、インカムでを床に投げつけた。

それとほぼ同時にゾムークは、俺の束縛を解く。
ショッピ
ショッピ
……
ゾムーク
ゾムーク
ゾム、ついてこい。
ゾム
ゾム
じゃあな…
ゾムさんは…泣いていた。
ゾムさんの涙を俺は見逃さなかった…。
ショッピ
ショッピ
ゾムさん!なんで、そんなに自分を犠牲にするんすかっ!


そう叫んでも、俺の声は、虚空に溶けていった…


いろは(作者)
いろは(作者)
今日、すごく遅くなりました…すみません(>人<;)

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